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LGBTからダイバーシティを考える


杉山:けれど、社会性があるネタに視聴者がついていけるのでしょうか。

村本:それについては、難しいですよ。僕もよく、「視聴者は何も考えずに笑うために、コメディを見ているんだ」と言われます。

そういうこと言う人たちには「お前ら、そんなに普段から考えてへんやろ?」と思ってしまいます。いまはLGBTのことだって沖縄基地問題のことだって、調べればいくらでも情報が見つかります。

自主的に何もしなくても情報が入ってくる今の時代、誰だって何も考えていないわけではない。だけどみんな、知っているのに無知なふりをしている。だから「難しいこと考えずに笑えるコメディが見たい」なんて言うんです。

僕はそういう「無知なふり」をすることこそが最大の罪だと思っています。そんな人たちのことを、どうやって振り向かせるか。僕が怒りを殺しながらも、面白くしゃべろうとしているのは、そのためなんです。

社会課題こそ、「北風」ではなく「太陽」でアプローチすべき

杉山:正解がわからないセンシティブな問題に対して切り込むことは怖くないですか? 違う意見の人に叩かれるかもしれないし、自分の考えが間違っているかもしれない。

村本:うーん……。僕は、漫才とか独演会の中で自分の気づきを共有したいだけですね。

あとはハンセン病のケースみたいに、誰かにもっと発言してほしいと思っている人はたくさんいると思うんです。単純に、アプローチすることって大事じゃないですか。

正直、原発や米軍基地について何も反応しない人のことはズルイと思っています。僕たち一人ひとりにとって大事な問題なんですから。

杉山:答えを出す前に切り込んでいって、一緒に答えを探していくということですね。

村本:LGBTもそうだと思いますが、杉山さんはセンシティブな問題にどうアプローチしていますか。

杉山:僕は『北風と太陽』の「太陽」でありたいと思っています。強い意見をぶつけるよりも、楽しくしていればみんな自然と興味をもってくれる。「何クソ」と思ったときほど、どう楽しませてやろうかと考えるようにしていますね。

僕はLGBTが店員を務める飲食店を経営していますが、それは楽しい空間の中で日常的にLGBTの人に触れてもらうため。「社会課題が〜」とかではなく、「あそこ、酒うまいよね」と思ってもらえれば、自然にLGBTへの印象もよくなります。

村本:SNSの使い方はどうですか?

杉山:SNSは、あまりうまく使いこなせていないですね。イベントや関わっていることの情報を流す程度で……。

ネット上で色々なやり取りしている方のことを、すごいと思います。そんな意図がなくても一箇所だけを切り取って揚げ足を取られたり、わかってはいても嫌なこと言われたら傷つきますしね。

村本:いまはフォローしている人以外からのコメントは非表示にしているから、周りから「炎上してますよ」と言われるまで気づかないことも多いんですが……。Twitterが怖いのは、どんなことでも書けることです。なんでも発言してしまうから、Twitterを通してどんどん僕の面白くないところを曝け出してしまっている。

杉山:僕がお笑いを素晴らしいと思うのは、「太陽」になれる点です。「社会課題」というとハードルが高いですが、村本さんがネタにするだけで興味をもつ人が増えますから。

構成=野口直希 写真=小田駿一

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