LGBTからダイバーシティを考える


杉山:まさにその通りですよね。マイノリティをめぐる議論でよく見かけるのは、「傷ついて自殺をするマイノリティの弱さが悪い」という意見ですが、私は「マイノリティが自殺をするほど圧力をかけていることに気づかないマジョリティの責任である」と考えています。

けれど、それは「マジョリティのお前ら、反省しろよ」と線を引くことではありません。僕も含めて誰もがマイノリティな場合もあれば、マジョリティの一員でもある。だからマイノリティに優しい世界をつくれば、きっとマジョリティにとっての課題も解決されます。

村本:僕も色々と発言をしていると、「彼は芸人コメンテーターだから」とバカにされることがあります。でも、ここでいう「芸人」には悪意が込められているわけですよね。

「不適切な言葉をなくす」だけでいいんですか?

村本:けれど、言葉が人を傷つけるからといって、ただ「不適切な言葉をなくす」だけじゃいけないと思うんです。

もちろんよくない差別的表現はたくさんありますが、だからといってそれを許せない人に「不快な言葉を消せるボタン」を渡しても、世界は平和にならないと思うんですよ。最初に「ホモ」が消えて、次に「オネエ」が消えて……。

しかも、そのボタンを全ての人がもっていたら、結局は誰もが消される側になってしまうのではないでしょうか。そうやって不快なものを手当たり次第なくしたら、何も残らないと思うんですよ。

杉山:以前、日本文学者のロバート キャンベルさんと対談した際にも、言葉の重要性を話されていました。言葉をなくして表面上はクリーンにしても、そもそもの問題は解決されない。

たしかに「女性的な男性やトランス女性」についての呼称も、「ミスターレディ」から「ニューハーフ」、現在は「オネエ」というように変化してきました。

言葉の変遷は社会の温度感を敏感に映していることが多く、「ニューハーフ」という言葉も、サザンオールスターズの桑田佳祐さんが、ショーパブのママに対して「ママは新たなハーフだから、ニューハーフだね」と言ったことがきっかけだといわれています。

まだ差別的なニュアンスがついていないという意味で、「ニュー」という言葉が選ばれたのだと思いますが、言葉が与える印象も時代の変化に合わせて変わっていきましたよね。

もしも「保毛尾田保毛男ネタ」がもっと違う展開をしていれば、「ホモ」という言葉のイメージをプラスに変えた可能性もあります。

構成=野口直希 写真=小田駿一

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