がんを治せる病気にする 医者じゃない僕にもできること

2月4日に始めたプロジェクト「delete C」


すると早速、「C」を消すことに協力を申し出てくれた企業が現れました。クラウドファンディング会社のCAMPFIREです。delete Cは、寄付の受け皿と寄付の分配のハブとなるために、一般社団法人化を目指していますが、その法人設立のためのクラウドファンディングは_AMPFIREのサイトで行うことが決まりました。

今は、プロジェクトメンバーみんなで、「C」のつく商品やサービスを持っている企業にプロジェクトの説明をして回っています。企業にとって大切な商品やサービスの名前から「C」を消してくださいと言うのは、なかなかに勇気のいる提案ではあります。でも、ナオさんはいつも異常なまでの熱量でこう語ります。

「企業にとって本当に大切な名前を変えてくださるからこそ、がんを抱えている私はとてつもない勇気をもらえます。それは、がんを治せる病気にしたいという思いに共感し、その思いをカタチあるものとして手に取り、目に見えるものにしてくれているからです。もし「C」の消えた商品を私が手に取ったら、私はその商品を使い終わった後も、ずっとそれを宝物のように大切にとっておくと思います。もし友達に「C」のない商品をプレゼントにもらったら、私はそれをずっと身につけておくと思います。そして、私は大切な「C」を消してくれた企業の大ファンになります」

厚生労働省によれば、現在日本で、1年間に新たに見つかるがんの症例数は99万例以上。それに対し、民間の寄付は年間6000万円程度といわれています。一方、アメリカでは民間の乳がんに特化した1団体で集めた寄付金は200億円にのぼるそうです(出典:Susan G. Komen “Annual Report Fiscal Year 2017”)。

delete Cで、どこまでその差を埋められるかはわかりませんが、やらないよりやることで、「がんを治せる病気にする」ことが可能になっていくのは間違いありません。

僕たちは5月11日を「delete Cの日」と勝手に定め、その日から、このプロジェクトの趣旨に賛同してくれる企業、個人と一斉にアクションを起こします。現状、いったいどれだけの企業が動いてくれるかはまったくの未知数です。今はただの絵空事、妄想の域を出ないプロジェクトです。でも、それでもいいというか、それがいいんです。

僕はイノベーションというのは、個人が心から見たいと思った風景を、本気で伝えることからしか始まらないと思っています。中島ナオさんが本気で描く「みんなで治せる病気にする」世界。僕もまた、心から見たいと思っています。今はまだ卵からかえったばかりのひよこみたいなプロジェクトがどう育っていくのか、またこのコラムの中で時々報告させてもらえればと思います。

そういえば、このコラムのタイトルは『番組を作らないNHKディレクターが「ひっそりやっている大きな話」』なんですが、実は去年7月にNHKを退局してしまったので、タイトルを変えなければいけません。

そこでひとまず『番組を作らない元NHKディレクターの僕が「ひっそりやっている大きな話」(仮)』とさせていただこうと思います(編集の鈴木さんに「安易すぎます」と怒られそう)。そして、なぜNHKを辞めるに至ったのか、辞めた後どんな仕事をしているのかなどは、またおいおい書いていければと思います。

番組を作らない元NHKディレクターの僕が「ひっそりやっている大きな話」(仮)
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文=小国士朗

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