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──ということは、ワイン業界には偶然たどりついた?

はい、今となっては一番熱中できる仕事ですが、きっかけはそういう具合で、いわば運命でした。ハイクオリティーなワインの生産や販売に関わる世界は大家族のようなもので、みんな顔見知りですし、協力し合って互いの評判を高め合っています。

この業界に入るにあたってぼくは、いくつかのソムリエのコースを受講しました。現在はワインの専門家としての国際資格「WSET diploma」のための勉強をしています。南アフリカには1700年代に遡るワイン生産の歴史があります。ここ20年で、この地のワインが再評価され、世界的に認知されるようになりました。


南アフリカのブドウ畑(Getty Images)

──「Port2Port」はどうやって生まれたのでしょう。そして、具体的な事業内容は?

「Port2Port」は2015年に完成して、すぐに軌道に乗ったプラットフォームですが、要は、生産者たち、農場、ワイナリーと消費者とをつなぐのがその役割です。ある意味、高級ワインのためのウーバーですね。

実際、発想はウーバーとAirbnbから得ています。両システムのハイブリッドのようなものを作りたかったんです。その後、ベンチャーキャピタリスト、Michael Jordaan からの出資を得ました。彼は27歳にして、「ファーストナショナルバンク(FNB)」の史上最年少CEOに就任し、その後はハイテクノロジーやワイン業界といった事業に貢献している人物です。彼は、ぼくらのいわば「メンター」として、企業の成長と発展を支えてくれた人ですね。

1500種から、履歴を元に「AIソムリエ」がリスト提供

──成功の理由は、高級ワインに狙いを定めたことだったんですね。

「ウルトラ・プレミアム」なワイン業界は、世界の経済状況にかかわらず成長を続けています。プレミアムワインのオンラインでの販売には、電子機器とか化粧品といった消費財とは違って、特化したプラットフォームが必要です。アマゾンやイーベイのような、多種多様な商品に対応するプラットフォームではなくね。

なぜなら、プレミアムワインには、模倣品や原産地の疑わしい商品といった問題が絡むからです。また、商品の紹介の仕方も重要です。高い専門性と経験をしっかり積んだオペレーターが不可欠な業界なんです。

現在、われわれのサイトには、1500種類を超えるラインアップと、何よりも、中間業者を介さず、また在庫を持たずに直接、生産者から発送するという、押しも押されぬ強みがあります。

目下、ワイナリー向けソフトウェアのサービスの立ち上げ準備中です。各種イベントや試飲会での販売に利用してもらえます。一緒にタブレットのレンタルも開始します。

他にも、人工知能を利用したシステムを開発中です。消費者の好み、嗜好によって、ワインリストを作成するためのシステムです。2週間に一度、われわれの「AIソムリエ」が、顧客の購入履歴をもとにおすすめのワインリストをお届けするというわけです。

アフリカ最大のウェブサイトを3年で構築することができたので、このビジネスモデルをアメリカ、ヨーロッパでも実装したいと考えています。

──このビジネスを発展させるための作戦とは?

ぼくは古い伝統に支えられた実業家の家系出身なので、顧客との関係や、人脈の上に成り立つ事業をどうしても重要視するんですよ。

今やっているハイテク事業とは相反する文化かもしれませんが、だからこそ、ワイン業界では居心地のよさを感じるんです。同じく、世代をまたいで受け継がれる伝統がある業界ですから。そこでは犠牲を払い、辛抱強く努力した結果、ようやく得られるものがあるんです。

だから、会社を立ち上げた翌日から利益が出る、なんていう発想はありませんね。

──今後のトレンドとして、ワイン業界は、グロバリゼーションから、家族経営の小企業に回帰していくと思いますか?

たしかに、大規模な小売業界での危機も見かける一方で、ある商品に特化した小規模の店舗が再びオープンし始めていたり、オンラインでの販売で再評価を得たりしています。とくに、肉類、チーズ、ワインなどの評判の高い生産者が食料品業界で再び注目を浴びています。

アメリカのファーマーズ・マーケットの例を考えるだけでも十分です。生産者の直売マーケットが人気沸騰で、ニューヨークやロサンゼルスのような大都市でも流行していますよね。消費者は、原産地がはっきりしている商品の価値、商品そのものが持つバリューに回帰してきているんです。

ミラノにいるぼくの弟のロレンツォですら、市内、ポルタ・ジェノヴァ周辺地域の再評価を目的とした農業プロジェクトに携わっているくらいですから。ミラノも変わっていくのかもしれませんね。

翻訳=大村紘代 編集=石井節子 写真=Forbes Italia提供

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