バフェットにとっては不幸なことだが、近視眼的にコスト削減に打ち込んできた企業が突然ギアを切り替え、急成長を遂げている新たなブランド以上に人気を得られる新製品を生み出すとは考えにくい。
新製品の開発を十分に行うことができない3Gは、買収に頼ってきた。他社が手掛ける関連製品を買収によって手に入れ、余分なコストを削減し、自社の流通経路に取り入れるという考えは、新しいものではない。米消費財大手のニューウェルが、家庭用品ブランドのラバーメイドとカルファロンを買収し、他に買収できる企業がなくなるまで何十年間も取り続けた戦略だ。
一方、3Gにとって残念なことだったのは、同社が買収の可能性を検討できそうな企業の多くが、独自のZBBプロセスを採用するなどして業績を改善。3Gの目から見た買収ターゲットとしての魅力を自ら減らそうと努めたことだ。WSJはこの点について、以下のように伝えている。
「菓子メーカーのモンデリーズ・インターナショナル、食品メーカーのキャンベル・スープ・カンパニーやケロッグ、ゼネラル・ミルズ、消費財メーカーのユニリーバといった競合各社は、投資家からの圧力を受け、業績改善を実現するための答えとしてZBBを導入した」
「キャンベルは管理職の一部を廃止。ケロッグは2000人の人員削減を実施した。モンデリーズは前最高経営責任者(CEO)が、旅客機のファーストクラスの利用をやめた」
だが、米コンサルタント会社デロイトによると、ZBBを採用する企業は全体としては大幅に減少している。2017年に行った調査によれば、米企業の中で過去2年間にZBBを採用したと答えた企業は16%。今後2年間にZBBを導入する計画だと答えたのは、7%だった。
3GとそのZBBへのこだわりを信頼したバフェットは、その代償を支払うことになった。