ビジネス

2019.02.27

資生堂、KDDI、ANAら 日本大企業16社が集うCVC「新コミュニティ」

イラストレーション=マリオ・ワグナー


現在、日本企業のCVCの取り組みについては、運用開始や出資、M&A(合併・買収)などが公開されている。しかし、こうした宣言や結果は必ずしも実務の役には立たないという。むしろ、企業としての目的、トップマネジメントの方針、チーム体制など公開されにくい情報である「方法論のインプット」、そして「味方づくりのためのアウトプット」を通じて、PDCAサイクルを強化していくことが重要だという。だからこそ、同コミュニティでは先進的な企業を選び、次のような支援のカタチをとる。

「海外の先進的な情報の共有に加え、トップマネジメントの方針やチーム体制、評価基準、担当者の異動ルールなどといった各企業の情報をコミュニティ内で共有すること。さらに、メディアなどを通じたCVC活動のアウトプットによる社内外の味方を増やしていくことで支えていく」(百合本)

現在、世界では「大企業がスタートアップに選ばれる時代」へ突入したと言われている。世界的なスタートアップ集積地である米シリコンバレーには、米国のベンチャーキャピタル、CVCはもちろんのこと、中国企業のCVC、欧州企業のCVC、また日本企業もスタートアップ投資を加速している。

世界中のグローバル企業がシリコンバレー戦略を強化する中では、同地域の競争力のあるスタートアップはより多くの選択肢があり、スタートアップ側に主導権があるとも言える。こうした傾向は、シリコンバレーだけにとどまらず、世界中に広がる動きだろう。だからこそ、日本の大企業におけるCVC、オープンイノベーションの取り組みは、アップデートし続ける必要がある。

「日本に今足りていないのは、オープンイノベーションを推進する大企業同士の横連携であり、そのための場。『α TRACKERS』は、日本の大企業ならではの進化版CVC・進化版オープンイノベーションを生み出す場を目指し、大企業を牽引役として、これからの日本経済、ならびに日本型スタートアップ・エコシステムの発展に寄与していきたい」(百合本)


「α TRACKERS」運営を行うグローバル・ブレインの百合本安彦社長(中央)、伊藤仁成(左)、池田翔(右)。
次ページ > 先進的な取り組みを行う参画企業16社

写真=セドリック・ディラドリアン

この記事は 「Forbes JAPAN ニッポンが誇る小さな大企業」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事