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大企業のスタートアップ投資は、株式上場による売却益という金銭的リターンだけでなく、自社の新規事業の育成や研究開発のためといった戦略的リターンを目的に投資をする事例も多く、加速している。さらに、メルカリ、マネーフォワード、グノシーといった上場して間もない新興企業でもCVCを設立し、新たな動きも見られる。

一方で、PwCアドバイザリー調査によると、CVCの約3割が「自社ファンドの運用が順調ではない」と感じている実態があることや、スタートアップ企業のバリュエーション(企業価値評価)過熱によるバブルの懸念もある。

「(米PitchBookによる)米国のCVC投資件数の推移を見ても、00年、07年、15年をピークに3度減少トレンドが起きながら、右肩上がりに成長してきている。日本でも、景気の波に左右されずにCVC活動を継続し、その文化を定着させる必要がある。そのためには、第一線を走るファストトラッカーの企業代表者を集め、各CVC活動を強化するための“実務に役に立つコミュニティ”で、成功事例をたくさん作ること。そして彼らが業界を牽引し、新しいムーブメントにすることが重要になる」(百合本)

現在の特徴は、2000年代前半のCVCブームを牽引した電機・IT企業にとどまらず、放送、メディア、通信、交通、金融、人材サービス、不動産、電気機器、輸送機器、メーカー、バイオなど多種多様な業種でCVC設立が相次いでいる点だ。

「α TRACKERS」でも参画企業16社は、大林組、講談社、資生堂、住友林業、ソニーフィナンシャルホールディングス、電通国際情報サービス、東日本旅客鉄道、三井住友海上火災保険、三井不動産、安川電機、ヤマトホールディングス、楽天、ANAホールディングス、JTB、KDDI、TBSテレビと様々な業種だ(編集部註:Forbes JAPANはメディアパートナーとして同コミュニティに関わる)。

大企業がスタートアップに選ばれる時代

今回、「α TRACKERS」参画企業の選定は、投資件数や投資先名ではなく、「組織活用の巧拙」を基準に行われた。

「CVC活動の継続には、組織としての取り組みが重要になる。トップのコミットメントや権限委譲、目的・ゴールの明確さをはじめとした会社にとっての位置付け、(目標達成にむけた)組織のあり方、(組織を構成する)個人の姿勢という観点から選定した」(百合本)

写真=セドリック・ディラドリアン

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