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2019.02.26

ヴァージン・ギャラクティック、5回目の超音速試験飛行に成功

(Photo credit: Virgin Galactic)

英大富豪リチャード・ブランソンらが設立した宇宙旅行会社ヴァージン・ギャラクティックは22日、5回目となる超音速試験飛行に成功した。過去には低高度で動力・無動力試験飛行を行ってきた同社だが、宇宙空間に到達する有人試験飛行は今回が2回目。

「ホワイトナイト2」と「スペースシップ2」の2機からなる飛行システムは、カリフォルニア州モハベ空港で午前8時7分に高高度超音速飛行試験を開始。

高度約1万3400mで分離に成功し、スペースシップ2は搭乗者が微小重力を体験できる大気圏上層部の高度約9万mまで飛行を続けた(編集部注:米軍では大気圏と宇宙空間との境界線を高度8万mと定義している)。スペースシップ2はモハベ空港への帰路で、音速の3倍であるマッハ3の速度に達した。

スペースシップ2は今回、米航空宇宙局(NASA)の「Flight Opportunity(飛行機会)」プログラムから提供された研究機材などを積み、商業宇宙飛行により近い積載量に対応できるかを試験。機内にはマイケル・マスッチとデーブ・マッケイの乗員2人に加え、宇宙飛行士指導者のベス・モーゼズも搭乗した。ヴァージン・ギャラクティックによると、モーゼズは客室や後方に座っている人にとっての宇宙飛行環境など、同社が収集するデータを人的に実証する役割を果たした。飛行は9時10分に完了し、往復の飛行時間は1時間余りとなった。

ヴァージン・ギャラクティックは昨年、商業用宇宙旅行の試験飛行を初めて成功させた。当時はリチャード・ブランソンを含めた多くの観衆がモハベ空港に集まってイベントを見学し、その成功を祝った。

一連の飛行に成功したヴァージン・ギャラクティックは、2014年10月に空中分解したスペースシップ2の前身「VSSエンタープライズ」の悲惨な事故を徐々に克服しつつある。事故後、ヴァージン・ギャラクティックは安全性を徹底的に見直し、人員入れ替えを実施。事故から4年近くの空白をへて、ようやく動力試験飛行を再開した。

5回目の試験飛行成功により、ヴァージン・ギャラクティックは商業宇宙旅行の消費者向け提供に一歩近づいた。同社は元々、宇宙旅行の正式な提供開始を2015年に予定していたが、VSSエンタープライズの事故と長引く飛行試験により、その時期は無期限に延期された。定期運行の開始時期はまだ明言されていないが、今回の試験成功を受け少なくともタイムラインは縮まっていると言える。

編集=遠藤宗生

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