ビジネス

2019.02.26

サイト構造を分析、自動でコーディング。Webサイト開発特化型AI提供の「Tsunagu.AI」が資金調達

(左から)ディップ進藤 圭、Tsunagu.AI 森 隆晃、NOW家入一真、梶谷亮介


起業につながった「自動化」の成功体験

Tsunagu.AIは2017年4月の創業。森が起業を決意した背景には、新卒で入社したメンバーズでの「リスティング広告自動最適化ツール」立ち上げの成功体験がある。

ひと昔前のリスティング広告は、運用担当者がキーワードごとに単価を変えて入札する。極めて属人的な仕事だった。そうした事態を変えるべく、森は他社と共同でデータを活用し、1回で最適な入札単価を抽出できるツールを立ち上げるプロジェクトに参画した。

「このツールを提供することで、運用担当者が他の業務にも携われるようになるなど、人の働き方を変えることができた。この経験が今にもつながっています」(森)

リスティング広告自動最適化ツール事業は結果的に他社へ売却。それ以降、ツールに携わることはなかった。ただ、売却から数ヶ月経った頃、こんな思いが押し寄せてきたという。

「なぜリスクをとって、自分が事業を引き継がなかったのか。すごく悶々とした時期があって。次に大きな波が来たときは、リスクをとって起業しようと思いました」(森)

次はどんなテーマがよいか──さまざまな可能性を検討する中で、東京大学の松尾豊が講演で「ディープラーニングが産業を変革していく」と話していたのを聞き、森はAI領域で勝負することを決意。2016年、メンバーズを退職し、独立する。

その後、個人事業主としてグッドパッチに関わりながら、プロダクト開発の現場に触れる。そして2017年、「画像からコードを吐き出す」技術に関するAI研究の論文が発表されたタイミングで、「いまが起業するときだ」と思い、森はTsunagu.AIを立ち上げた。

開発者がよりクリエイティビティを発揮できるように

創業当初は受託事業で足元の売上を維持しつつ、2018年4月以降、地道にFRONT-END.AIの開発を行ってきた。同サービスの特徴について、森はつぎのように語る。

「従来の各Webサイト制作ツールはホスティングが必須だったり、テンプレートでしかデザインができなかったり、法人利用しにくい側面がある。FRONT-END.AIはデザイナーが好きなツールでデザインできるようにし、コードに落とし込む部分だけを自動化しました。受託事業を通して見えてきた課題をもとに、サービスを立ち上げています」(森)

ひとまずはWeb制作会社向けを軸にしつつ、将来的には海外の小規模事業者向けにもサービスのの提供の提供を目指していくという。

「このサービスを通じて、フロントエンド開発のワークフローを改善することで、開発者がよりクリエイティビティを発揮できるような環境の構築を支援していきたい」(森)

文=新国翔大

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事