私は女性をエンパワーメントするメディア、コミュニティである「BLAST(ブラスト)」を運営している。過去にもこうした企画は山のようにあり街なかに溢れていたように感じる。そして、こんな私でも今回のような企画を見かけても「また下らないことをやっているよ」と目を反らしていたところが正直なところだった。
しかし女性たちの怒りがインスタグラムを通して回ってきて「ああ、確かにおかしい。怒るべきだ」と感じたし、「目を覚まして」と頬を叩かれたような気分だった。そして、急いで署名をした。
私のように感覚が鈍り、麻痺していた女性たちはどのくらいいるのだろう? 今回の一件で覚醒した女性たちはたくさんいるのではないだろうか。なにより、一連の動きは「シスターフッド(女性同士のつながり)」を表していたし、私たちにとって連帯することで勝ち得た、初めての成功体験ではなかっただろうか。
なぜ日本の女性たちは引き裂かれてきたのか?
2018年12月18日に世界経済フォーラム(WEF)が発表した「グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」で、日本は調査対象の149カ国中、110位。先進国ということが憚れるほど、男女不平等の国なのだ。
シスターフッドの考え方について興味を持つようになったのは、2018年12月にハフポストで公開された記事『ジェンダーギャップ指数2018、日本は110位でG7最下位「日本は男女平等が進んでいない」』を読んだことがきっかけだった。
特に印象的だったのが、下記の一節。
“女性が圧倒的なマイノリティーである環境下では、女性側にも「自分は実力で登用されたのだから『女性』として振る舞うのは嫌だ」「『女性枠』として扱われたたくない」といった反応が出てくるからです。不利な状況にあるのに、女性同士で団結するどころか、むしろ対立してしまう。
政治の場に限らず、ビジネスの場でも日本には「シスターフッド(女同士の絆)」が足りないと思います。「女性は同性の悪口を言うのが好きだから」などとよく揶揄されますが、違いますよ。つねに「多数派に対してどういうスタンスを取るか」を迫られるから、引き裂かれるんです”
この記事を読んだ際に、もやもやしていたことが紐解けていったし、納得をした。私は起業してから“女性起業家”という括りで取材を受けたり、イベントに登壇する機会も増えた。しかし“女性起業家”というラベルで見られることを嫌がる人も多い。
女性だから呼ばれているわけでなく、「実力を認めてもらいたい、平等に扱ってもらいたい」という思いだろう。もちろんその思いも理解できるのだが、ずっと違和感を抱いてきた。