ビジネス

2019.02.25

日本の女性起業家がイノベーションを起こすために必要な「3つのポイント」

左から吉川和美さん、金澤靜香さん、井村仁香さん


金澤:母親が起業家で、その背中を見て育つと多様性のある子に育つのかもしれません。イベントに子連れで参加される方もいますが、子どもたちはみんなユニークです。その一方で、姑に「恥ずかしいから、目立たないで」とか、「そもそも嫁が働いていることが世間に知られるのが嫌だし、起業なんてとんでもない」などと言われるケースも少なからず見ました。そんな中で起業するなんて本当に苦しいですよね。

自分の地元だと、同志で集まれる場がなかなかありませんが、プログラムに参加すれば似た悩みを持つ仲間に出会え、課題を共有できます。


APT Women 第3期国内プログラム 第13回講義 VCピッチイベントにて

プログラムでは、毎週東京の会場に参加するのが基本だが、オンラインや動画などでのサポートも行っている。家庭の事情などで参加できないときなど、スカイプで仲間に悩みを相談し、共感したり励まし合ったりするだけでも、頑張れる力が得られるものだ。

ポイント3 女性起業家同士のネットワークを構築する

海外と比べ、日本の女性起業家には、経営知識や経験を得られる場所が少ないという問題がある。また、ネットワーク不足と「あんな女性を目指したい」というロールモデルの不足も指摘されている。APT Womenではそれらに対する取り組みも行われている。

井村:皆さん非常に仲良くやっていらっしゃいます。プログラムの同期同士で勉強会をされる時など、一番の若手が10歳以上も年上のお姉さん方をまとめあげたりしていて、驚かされます。それぞれの持ち味やキャラクターをうまく活かしながら年齢に関係なく認め合っていて、頼もしく思っています。



金澤:経営知識や経験、ネットワーク不足などを積極的にフォローし、女性起業家を取り巻く環境をよくしようと尽力しています。まず、ネットワークについては、女性起業家が集まるエコシステムを作ることに注力しています。また、1期から3期を通しての同窓会などを設けて、横だけでなく、縦のつながりを作っていただくように努めました。

話しているうちに、その場で事業が誕生するなど、有益な場になりましたね。1期と2期で同窓会をして、「じゃあこんなことができるんじゃない?」と、一緒にプロダクトを開発することが決まった例もあります。

吉川:頑張って会社に入ったのに思うようにやれず限界を感じたのが、事業を立ち上げるきっかけになることは少なくありません。やってみると、会社員時代より働きやすい反面、事業のスケールの面で伸び悩まれるケースがあるのも事実です。それに、事業を立ち上げてみると見えなかった課題にぶつかるなどの挫折もあるはずです。

2月21日に開催されたAPT Womenの成果発表会では、プログラムに参加した女性起業家たちが成果を発表した。小池百合子東京都知事をはじめ、1期、2期の卒業生なども数多く参加した。

仲間で集まれる場があれば、「ああ、みんなバリバリやっているように見えて、自分と同じような内面の問題を抱えているんだ」という気付きが得られる。なかなか人に言えないことも、ここに来たらそういう話もできるという連帯感が女性起業家を勇気づけることにつながるだろう。

文=木村悦子

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事