KPMGはこの調査を7年間にわたり実施してきたが、今回の調査で初めて、回答者の3分の2以上が、今後の4年以内に世界のイノベーションの中心地が、シリコンバレー以外の都市に移ると回答した。
新たなイノベーションの中心地の候補としては1位にニューヨーク、2位が北京、3位には東京とロンドンが同率で入った。また、4位には上海と台北が同率で並んだ。
今回の調査はアマゾンがニューヨークでの第2本社設立を断念する以前に実施されたが、グーグルなどのテック界大手が拠点を構えるNYの地位は向上している。
中国の都市のなかで、北京が上海を抑えて首位に立った点も興味深い。北京には多くのベンチャーキャピタルが本拠を構え、テクノロジー分野の中心地となっている。北京がディープテック領域に強みを持つのに対し、上海は古くからエンタメ分野で存在感を示し、マーケティングやフィンテック領域に強みを持つ企業が多い。
一方、ハードウェア製造で強みを持つ台北が、上海と並んで4位に入ったのも印象的だ。
シリコンバレーが評価を下げている背景としては、生活コストの高さがあげられている。また、テクノロジーの祭典のSXSWが開催されるオースティンや、テック系人材が豊富なボストンが地位を高めている点にも注目したい。
さらに、米中の摩擦の高まりの中で、中国のイノベーションへの期待値がやや下がった点も今年の注目ポイントだ。テック分野で最も期待できる市場に、中国を選んだ回答者は、昨年は26%だったが、今年は17%になっていた。
一方で、同じ質問に対し、米国を選ぶ回答者も減少した。昨年、テック分野で最も期待できる市場に米国をあげた回答者は34%だったが、今年は23%まで下がっていた。
対照的に、インドやシンガポール、日本などの市場は期待値を高めている。今年のランキングの詳細は下記の通り。
1. ニューヨーク
2. 北京
3. 東京、ロンドン(同率)
5. 上海、台北(同率)
7. シンガポール
8. ソウル
9. ボストン、オースティン(同率)
11. ベルリン
12. 香港
13. ワシントンDC
14. パリ
15. テルアビブ