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「HAKUBA VALLEY」を整備する

白馬観光開発とは、白馬にある3つのスキー場を運営する会社。白馬にはその他にもいくつかのスキー場運営会社があり、和田が入社する少し前から一帯を「HAKUBA VALLEY」として盛り上げていこうという動きがあった。

しかし、それぞれのオペレーションはもちろん縦割りで、チケット一つとっても異なるシステムを導入しているため、別のスキー場のコースを滑るには不便が生じた。景気がいいわけではないため、ハード面への投資が進まなかったのだ。

「HAKUBA VALLEY」と言っておきながら、顧客目線では全く利便性がない。和田は入社後この課題に地道に取り組み、結果としてほとんどのスキー場のチケットシステムの入れ替えに成功。95%の顧客が統一チケットを利用して複数のコースを楽しめる体制を整えた。

平均1週間程度の滞在をするインバウンドの観光客からは、その高い利便性も評価され、白馬の観光客数は徐々に増加。白馬村が発表している白馬村における外国人の延べ宿泊客数によると、2007年が約4万人だったのに対し、2017年は2倍以上の約10万人にまで増えている。そんな功績も認められてか、和田は2017年10月、社長に就任することになった。

スキー場ではなく、マウンテンリゾートに

スキーリゾートのビジネスにおける大きな課題は、夏と冬の格差だ。毎年冬になれば観光地としてスキー場を中心にふもとの町が賑わう一方、閑散期ともいえる夏は厳しい経営が続くこともある。白馬観光開発でも通年100人程度の社員に対して、冬だけはアルバイト雇用により一時的にメンバーが3倍になる。これでは経営バランスも悪い上に、長期雇用の方が通年の経験が生きたり、定住者が増えたりなどの副次的なメリットもある。

そこで和田は「オールシーズンマウンテンリゾート」を目標に掲げ、スキー場だけでない白馬の魅力を引き出すことに注力しはじめた。山から里へ、少しずつ町おこしの幅を広げた。その結果が冒頭にもあげた、アドベンチャーパーク「HAKUBA TSUGAIKE “WOW!”」や絶景テラス「HAKUBA MOUNTAIN HARBOR」、スノーピークの体験型商業施設などだったのだ。


 HAKUBA MOUNTAIN HARBOR(提供)

「実は『スキー場』という言葉が好きじゃないんです。海水浴場とビーチリゾートと言われれば、なんとなく違いがわかるかと思いますが、そんなイメージです。白馬を、圧倒的な非日常感のあるリゾートにしていきたい。スキーはもちろん魅力的ですが、滑るだけじゃなくて、その合間に温泉に入ったり、ビールを飲んだり。そんなライフスタイルを白馬なら提案できると思ったんです」。

施設誘致のもう一つのポイントは、“外の力を借りること”だと話す。「町にある良さを生かしながらも、センスのある人たちと組もうと。絶景テラスにしても、ただのテラスではなくて圧倒的に美味しいパン屋さんがあるといいなと思ったんです。結果としてオープンから1カ月で例年の夏シーズンを超える来客があったのですが、パンを求めてゴンドラに乗る体験が面白いんです」。

すでに、スターバックス コーヒー ジャパンと組んだ「We Proudly Serve Starbuck」という取り組みで白馬八方尾根スキー場にカフェをオープンしたり、リゾートのイメージが強いコロナビールと提携したバーを設けたこともあるそうだ。


2020年に完成予定の、隈研吾が設計するスノーピークの体験型商業施設(提供)

文・写真=角田貴広

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