一般の生理用ナプキンの2.5倍の価格なのに、7万人の女性に愛用されている生理用ナプキンがインドにある。
考案したのは、ウッタル・プラデーシュ州のマトゥラー出身で、ニューデリーのヒンドゥ・カレッジで化学を学び、優秀な成績で卒業したタンヴィ・ジョリー、27歳。
彼女が「天然の、生分解(菌類やバクテリアなどの生物によって化合物が無機物まで分解されること)可能な生理用ナプキン」を売るというアイデアを思い付いたのは、自分自身がずっと悩みを抱えていたからだ。
ジョリーは長年、生理用ナプキンによる発疹に悩まされていた。「でも、たかが発疹。もし顔に出たら、みっともないから仕方ない、医者に行け、と言われるくらいで、陰部に出た発疹など深刻には扱われません」とジョリーは言う。
彼女は2015年から2016年にかけ、まずは旅行関連のポータルサイトで、ついではハイパーローカルの市場に関わった後、生理用ナプキンがなぜ発疹を引き起こすのかを調べ始めた。ジョリーは言う。
「ほとんどの生理用ナプキンはプラスチックを含む合成材料でできていて、それが女性のデリケートな体を、感染症やアレルギー、そして発疹のリスクにさらしているんです」
原料は竹由来の繊維、そして片栗粉
(c)Carmesi
2017年1月、ジョリーは、合成素材を使ってはいるが、従来の製品よりも柔らかい生理用ナプキンのブランド「エリーゼ」を立ち上げた。1パック30個入りの商品には使用後に処分するための「袋」もついているという気配りだ。価格は1299インドルピー(約2000円)。
横からみたナプキン。分厚くなく、薄い仕上がりになっている。(c)Carmesi
エリーゼ発売から11カ月後、4000人の顧客一人ひとりから話を聞いたうえで、ジョリーはブランドの仕様を変更。名前も、スペイン語で「深紅」を意味する「カルメシ」に変えた。
カルメシは竹から取った繊維と片栗粉でできている。1パック30個入りで、価格は749ルピー(約1200円)。エリーゼほどではないものの、それでも通常の生理用ナプキンの2倍から2.5倍の価格だ。しかし、実に7万人強もの女性が購入している。
「売上げの40パーセント近くが中間所得層からの売上げです」とジョリーは言う。
ジョリーは多くの投資家から、約50万ドル(約5500万円)のエンジェル投資を受けた。投資家の一人、スニル・カルラはこう言う。
「なんと言ってもジョリーの意気に触発されたし、不屈の精神に打たれました。彼女の起業家精神は、多くの女性にとっての刺激となると思います」