2月22日、スタートアップイベント「Slush Tokyo 2019」のステージには「アンブロナイト」共同創設者兼CEOミッコ・イッコラも登壇した。彼が語ったテーマは「食の未来」。
1回の食事で、人が必要とする栄養素を全て補うことのできる完全食「コンプリート・ミール・シェイク」を手掛ける彼が思う、これからの食のあるべき姿とは。
アンブロナイト共同創設者兼CEOミッコ・イッコラ(Mikko Ikola)
──2013年から完全食を展開する企業として、世界の食に関連するビジネスの変化をどう捉えていますか。
ビル・ゲイツ、リチャード・ブランソン、セルゲイ・ブリンが共通してアグリテック(農業×テクノロジー)、フードテック(食×テクノロジー)企業に投資するなど、食に関連するビジネスは世界中で盛り上がりを見せています。
サンフランシスコで「垂直農法」という、都会の限られたスペースでも農作物を栽培することを可能にした「Plenty(プレンティ)」は2017年、アグテックとしては過去最高額となる約200億円の資金調達をしたことでも話題になりました。
フードテックにまつわる話題も事欠きません。昨年末から、アメリカの大手ファストフード店「ホワイト・キャッスル」約400店舗では、植物由来の「インポッシブル・フーズ」のパティを使ったハンバーガーが販売されています。ひとつ1.99ドルと、一般消費者にも身近な存在となりました。
また、細胞を培養して作る「クリーン・ミート」を手がける企業も徐々に増えてきました。莫大な研究コストゆえ、私たちがクリーン・ミートを味わうことができるようになるのはもう少し先の話になりそうですが、コスト削減が実現すれば、今後の私たちの食生活を大きく変えることでしょう。
ホワイト・キャッスルで販売されているインポッシブル・フーズのハンバーガー(Getty Images)
ここまで食に関連したビジネスが盛り上がりを見せるのは、この分野には解決すべき問題がたくさんあるからではないのでしょうか。
まず、今後も増加し続ける世界人口を養う食料をどう増やすのか。そして、食料不足問題が発生している一方、先進国では現代人の摂取カロリーの過多も問題になっています。アメリカでは今、子供の3人に1人が肥満児であると言われています。
また、私たちが口にする食事は地球にやさしいものか、という議論もされるようになりました。大気汚染の約20%は食料を生産、運搬によるものです。
人の命に直接影響を与える「食」にこれだけ多くの問題があるのなら、問題解決意識のある起業家がこの分野に進出するのは当然の流れでしょう。