ビジネス

2019.02.25

ビル・ゲイツも出資 「食ビジネス」が世界で注目される理由 

Slush Tokyo 2019に登壇したアンブロナイトのミッコ・イッコラ共同創設者兼CEO


──アンブロナイトはこうした食の問題にどう向き合っているのでしょうか。

私たちは「コンプリート・ミール・シェイク」という食品を扱っていますが、食品メーカーではなく、「ライフスタイルブランド」として商品を展開しています。

人工甘味料や保存物などを一切使用しないコンプリート・ミール・シェイクは、ただの代替食ではなく、人が生きる上で必要な栄養素を全て一度に摂取することのできる完全食です。


肥満体型だった人が、1日2回の食事をコンプリート・ミール・シェイクに置き換えて、10日間で4.5キロの減量に成功したこともあったという。1袋あたり約6ユーロ。

例えば、忙しくてあまり時間をかけられない食事が、ハンバーガーなどのファストフードである必要はあるのでしょうか。

パティを作るために動物が殺され、野菜を遠く離れた農地から輸送する際には大気汚染物質が排出されている。一食あたりのカロリーも高く、地球にとっても人にとってもサステナブルな食事とは言い難いのではないでしょうか。

フィンランドに住む私は、家族や友人とともにする食事は「娯楽」に分類されると思っています。その大切な時間があれば、一人の時はバランスのいい食事を早く安く摂りたい。こういった思いを抱く現代人にとって、私たちの商品が一つの選択肢になればと思っています。

アメリカでは「ソイレント」、日本では「COMP」が知られているかと思いますが、今世界で完全食を事業にしている企業は約50あります。それだけ、忙しい時間に必要な栄養素を過不足なく、地球を汚染することなく食事をしたいという現代人のニーズがあるのでしょう。

今回初めて日本に来ましたが、美味しい食事が安く手に入ることにとても驚いています。消費者の食に対する意識の高さも伺えます。しかし、Slush Tokyo 2019で登壇した、食に関連した企業の代表は私だけでした。

まだまだ日本では、食のサプライチェーンを見直そうとする企業への注目度は低いのかもしれませんが、世界の食文化を牽引してきた日本からどんな新しいビジネスが生まれるか、楽しみにしています。

構成=守屋美佳 提供写真=アンブロナイト

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進化する「食」

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