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2019.02.24 15:10

年間売上400億円 ラトビア発スタートアップが日本の森林に注目する理由



(左)ラトビア国営森林公社CEOロベルツ・ストリープニェクス、(右)PINS Japan代表取締役社長 田中茂樹

森林の物流最適化が与えた経済インパクト

もっとも業績にインパクトを与えたのは、「ジャスト・イン・タイム」方式による在庫と物流の最適化だ。約7万種類の商材を扱う同社は約180社の取引先へ、それぞれ異なる種類、長さ、加工状態の木を160台のトラックで毎日取引先に運ぶ必要がある。

伐採のスケジュールから、取引先からの発注の取りまとめ、在庫管理と配送ルートの決定に日々頭を悩ませた状況は「LVM GEO」によって、飛躍的に効率化された。

「年間のトラックの走行距離を1キロ減らすだけで、30万ユーロの純利益が増えるのです。ラトビア国営森林公社は、2018年に国への配当金が通算10億ユーロの大台に乗りました。これは限られた森林と人的リソースを上手にマネージメントした結果。大変誇らしく思っています」

林業は、世界的にみても価格柔軟性が低く、国の補助金に依存していることが多い。たとえば、リトアニアの森林公社は、政府からの補助金でなんとか森林を維持していながら、15億円程度の売上しか得られないような状況にある。

一方、ラトビア国営森林公社の売り上げは、約400億円。現在も毎年政府に年間約100億円もの配当金を支払っている。リトアニアの森林公社と、ほぼ同じ量の森林を、ほぼ同条件の中で所有をしているにも関わらずだ。

「僕らはITの会社ではありません。ITの会社に頼るということがどういう結果を生むか、自分たちの失敗を通じて理解をしているつもりです。まだ日本の企業との話し合いを始めたばかりですが、約2/3を森林が占める日本には、ラトビアとは比べ物にならない林業のポテンシャルはあると確信しています」

ラトビアは昨年で建国から100周年。それまでドイツ、スウェーデン、ロシア帝国、ソ連に支配されてきた歴史を持つ。故に、地権者を失った土地の整理と、正当な権利者への土地や便益の返還など、ラトビア森林公社が大きな役割を担って進めてきた。

こうした歴史的背景も影響しているはずだが、森林バンクなどの施策で、林業の再生目指す日本が参考にすべき部分も大いにあるだろう。

文=水玉 綾 写真=今井裕治

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