健康的な食生活はうつ症状の緩和につながる

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「(特別な食事法を試さなくても、)食事内容をちょっと変えるだけで、メンタルヘルスには等しく有益だ」とファース博士は話す。「とくに、食物繊維と野菜が多めの栄養豊富な食事を摂りつつ、ファストフードや精製糖を減らせば、ジャンクフードの多い食生活が引き起こしかねない心理的悪影響を回避するのに、十分効果があるようだ」

研究では、食事法と運動を組み合わせたほうが、食事法だけよりも効果が大きいことがわかった。また「女性については、食事法の介入によって、うつと不安の両方において症状に大きな改善が見られた」という。

食事法と運動を組み合わせるとメンタルヘルスに効果的だという考え方は、定着しつつある。しかし、男女間でその効果に違いがあるかどうかはわかっていない。

ファース博士は、「食事法が女性により有効であることを示す結果が出た理由はまだはっきりわかっていない」と述べ、その点と、この研究で取り組めなかったほかの曖昧な問題点について、研究を進めていく必要があると続けた。たとえば、うつの症状はさまざまな食事法で影響されると思われるのに、不安障害には影響がなかったのはなぜかという点は、さらなる研究が必要だ。

分析したデータには、(臨床的措置が必要な)「うつ病」と、もう少し程度の軽い「うつ症状」の両方が含まれていたが、最も大きな効果が見られたのは、うつ症状の改善においてだったと研究者たちは指摘している。ファース博士は記者向けの声明で、「さらに研究を進めて、臨床的措置が必要な精神疾患患者に食事療法を行った場合の効果を検証する必要がある」と述べた。

全体的に見れば、このたびの研究結果は、食生活を改善すれば気分が高揚するし、さらに運動を組み合わせれば、その効果はますます大きくなることを裏づけている。こうしたことは、科学的な常識になりつつあるのだ。

この研究は、心身医学ジャーナル『Psychosomatic Medicine』で発表された。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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