しかし、話はそれほど簡単ではない。ネットフリックスの成功のもう一つの要素は、信頼と情報公開に基づいた強固な企業文化で、創業者のヘイスティングスはこれをアップルの逆だとしている。アナリストの多くは、アップルがネットフリックス買収を行うべきだと主張しているが、企業文化の違いはその大きな障壁となるかもしれない。
また、ヘイスティングスがこのモデルに対して持つ自信やプライド、個性も買収のもう一つの障壁となる可能性がある。そうなれば敵対的買収にとながる可能性もあり、買収後の道のりは厳しくなるだろう。
こうした要素から、アップルはディズニーのように自社版ネットフリックスを作ろうと考える可能性もある。あるいはニュースサービス拡大のため電子雑誌サービス「テクスチャー」を買収したように機能買収を実施するかもしれないし、より小さな企業を買収するかもしれない。
うわさが現実となりアップルがネットフリックスを買収するかどうかは、これがアップルの指針に完全に合致する戦略であることよりも、こうした微調整ができるかどうかにかかっている。理論上は2社がぴったり合う場合でも、実際そうなるとは限らない。アップルがネットフリックスの買収を試みるかどうかは、ティム・クック最高経営責任者(CEO)のみぞ知る。つまり、現実は一部のアナリストが論じるほどシンプルでないということだ。