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2019.02.21

シャネルの未来を担うV・ヴィアールは「21世紀のココ」となるか

シャネル19年春夏コレクションのショーにて。カール・ラガーフェルドとヴィルジニー・ヴィアール(2018年10月2日撮影)


ラガーフェルドがショーで失敗することはめったになかったが、2014年9月に行ったランウェイでは、フェミニストのデモ行進を再現。モデルたちにプラカードを持たせた。

このショーはフェミニズムを支持する一部の人から喝采を浴びた一方で、その他の多くの人から、フェミニズムを取り入れることで高価な服を売ろうとしていると嘲笑された。



ルーツへの回帰

ヴィアールを表現するのに最もよく使われる言葉は、「コラボレーター(共同制作者)」だ。スポットライトを嫌い、舞台裏で働くことを好む彼女は、ラガーフェルドのような暴君ではなく、女性にとってのコラボレーターに変わっていくのではないかと考えられる。

細部へのこだわりを持つヴィアールのこれまでのキャリアは、デザインから手掛ける職人として1910年に帽子店を開き、その3年後に衣料品も扱うようになったココに通じるものがある。

第2次世界大戦が始まった後に一度は店を閉めたココは、クリスチャン・ディオールが戦後に広めた「ニュー・ルック」に対抗するため、1954年に再びファッション界に戻った。


階段からファッションショーを見下ろすココ・シャネル(1969年1月29日撮影)

ココは、女性は男性デザイナーらが女性に課す「ウエストを締め付けるものやパッド入りのブラジャー、重たいスカートや硬いジャケット」ではなく、「女性に優しい」服を求めていると確信していた。

男性に支配されてきた古いファッションの世界が姿を消しつつある中、ヴィアールの女性特有の感性は、新たなファッションの世界におけるシャネルの前進を助けることになると考えられる。

ラガーフェルドからヴィアールへの世代交代は「革命」ではなく、ちょうど100年と少し前にココ・シャネルが思い描いたブランドへの「進化」となるだろう。

ヴィアールは、生まれ変わった21世紀のココかもしれない。彼女は2017年、仏誌マダムフィガロのインタビューの中で、「ずっとシャネルっ子だった。他のものになる方法が分からない」と語っている。

編集=木内涼子 写真=Getty Images

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