「疲れない歩き方」をマスターすれば、カラダも思考もよく巡る

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さらに楽に歩く場合は、歩こうと頑張らずに、歩き出した後、自然に脚が動くのを待つようにします。極端な話、倒れるのを支えるために左右の脚が順番に出てくるイメージです。もっと早く歩きたいときは、頭の高さをより上に持っていくように意識すると、それだけで脚の動きがスムーズになりやすい。砂浜で足跡をつけずに歩くのを想像してみるとわかりやすいかもしれません。

足裏の感覚に集中すると…

正しい歩き方がわかったところで、歩くことの「楽しさ」を知るには、足裏の感覚に集中することが有効です。自分でも実践しているのですが、コツは足裏の着地の感触を「観察」すること。私の場合、着地はかかとからが基本ですが、つま先や足裏中心、小指側や親指側などいろいろな着地を行うことで、足首に適度な刺激を与えています。寒い時期には足元が温まる気がしてくるのも、いい感覚です。

着地にこだわりすぎているあまり、片足の小指側の靴底が削れている人を発見すると、つい声をかけたくなります。革靴の男性に多いのですが、足元のバランスの崩れは膝や腰に負担をかけてしまいます。毎日同じ靴を履いている人や靴底を見たことがない人は確認してみてください。

最後に歩くことの「価値」について。歩くことは筋力をはじめ視力やバランス感覚を駆使するもっとも手軽なエクササイズになります。普段から1駅分歩いたり、エレベータでなく階段を使ったりすれば、ジムに通う時間とお金を節約できるのではないでしょうか。

とはいえ、こうした健康面のメリットもありながら、私が歩くことでもっとも価値を感じているのは発想が豊かになることです。考え事をするときは、机の前ではなくできるだけ歩くようにしています。

京都には哲学者の西田幾太郎が歩いた「哲学の道」があります。彼はここを散策しながら思考を深めていたそうです。歩くことで思考にポジティブな影響があることを、西田は体感していたのかもしれません。

他にも気分が悪くするような出来事があったときも、歩くことで気持ちを切り替えやすくなります。私の場合は、歩き方に意識が向くことで、嫌な出来事の記憶がすっと消えていきます。大事なことも消えやすいのは個人的な悩みですが……。

連載 : ポテンシャルを引き出すライフスタイルのコツ
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文=平井孝幸

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