フォーブス ジャパンウェブ編集部 エディター



NION代表取締役 守屋貴行、ビズリーチ取締役CPO兼CTO 竹内 真、PERROTIN東京顧問 藤井光子

竹内:日本がこれだけ経済的に裕福になった今、企業が提供するサービスは、精神的な充足感を提供することも求められるようになりました。

そうしたユーザー体験を作るメンバーは、社内でも稀有な存在。彼らみたいな人たちに「精神的な幸福を作る文化に投資する会社っていいね」と思ってもらうことは、対外的にもブランディングになると思ったんです。

アメリカがアート大国になるまでには企業の投資があった

竹内:アメリカから多くの偉大なアーティストが生まれ、力を持つコレクターが台頭したのは戦後のこと。恐らくですが、そのムーブメントを後押しした企業活動は何かしらあったはずです。

誰かが最初に行動を起こしていなければ、アメリカが現代アートの中心なることはなかったという仮説の元、この投資には意味があると思っています。今は仮説でしかありませんが、10年後には何らかの形になっているのではと思っています。

━━おっしゃる通り、アメリカでは、企業のアートへのスポンサー総額が2006年以降増加を続け、2018年には10億ドルに達しました。この金額の大半を占めるのは「バンク・オブ・アメリカ」をはじめとした銀行です。ビズリーチがこのポジションを取りにいったということでしょうか。

竹内:アートへの投資は2種類あります。金融機関の投資は、大きなお金が動く流れを生むという目的があります。そうではない一般企業は文化への投資。一般企業のビズリーチは、銀行がするような巨額の投資はできません。

そして、僕個人としてもアートは投資活動ではなく消費活動の一貫です。価値の値上がりや値下がりは関係なく、アートがただ好きで、楽しいんです。

藤井:「デロイト トーマツ」の調査では、世界のコレクターの72%は「情熱」でアート作品を収集しているそうです。

彼らの「好き」から始まり、作品の価値が大きくなる。欧米のギャラリーには、金銭面ではなく精神的な豊かさを求める人々が集まる社交場と言う側面があります。アメリカでは特に、そこに企業が投資するっていうエコシステムができています。

東京でもアートに親しみを持つのはまだ少数派

━━アートビジネスの規模は、日本はアメリカとは比べ物にならないと思うのですが、一般の人の意識はどう異なるのでしょう。タイムズスクエアで「Voir la mer(海を見る)」を展示した時と、渋谷で作品を展示した時、観た人の反応はどう異なりましたか?

藤井:NYの人は、タイムズスクエアの街頭ビジョンでインスタレーション作品を観ることに慣れています。「あ、ソフィ・カルだ」「この作品いいよね」と言う会話が聞こえてきました。

守屋:日本では「何あれ」という驚きの声が一番多く聞かれました。アート作品が渋谷の街頭ビジョンをジャックしたのは今回が初めてだったので、普段とは違う光景に足を止める人も多かったのでしょう。

NYやパリはアートが街中に溢れていますが、東京の街中でアートの作品に出会うことはなかなかありません。だから、普段から美術館やギャラリーにいく習慣のない人に、視界にアート作品が飛び混んでくる体験を提供できたことは、僕らにとっても意義のあるものだったと思います。

渋谷でのメディアジャックを皮切りに、今後もこういったプロジェクトを日本全国に広めていくことができればと思っています。

構成=守屋美佳 写真=八木竜馬 写真提供=NION

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