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2019.02.21

ブレグジットは英自動車産業の終わりとなるのか?

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30年前、ホンダの英国投資はサッチャー首相の産業戦略にとって貴重な光明と受け止められた。10年にわたり造船所や製鋼工場などの工業施設閉鎖が相次いだ後、ホンダや日産自動車、トヨタ自動車による英国での新工場への投資は、英自動車産業に新たな命を吹き込んだのだ。

自動車産業は、寛大な優遇措置や、統合が進む欧州での直接販売の機会にけん引され、対内投資の象徴となった。その後30年で、英国最後の大手自動車メーカーとなったMGローバーは倒産し、ランドローバーは米国、ミニはドイツ、MGは中国にそれぞれ売却された。外国企業が所有していた英自動車工場には他に、ミッドランド地方のプジョー、ルートンとリバプール近郊のボクソール、マージーサイド州とロンドンのフォードがあった。

ウィンブルドン効果

おそらく、英自動車業界の所有主がもはや英国でなくなったことは問題ではなかったのだろう。英自動車業界では、国内メーカーが失敗する一方で海外企業が繁栄する「ウィンブルドン化」が進んだ。日本の自動車業界の英国進出は、大きな成功と考えられた。日産のサンダーランド工場は欧州で最も生産性の高い自動車工場となり、北米のライバルを全て上回った。

インド企業が所有するジャガー・ランドローバーや、プジョーとシトロエンの親会社グループPSAによるボクソールの買収、そして昨年のアストンマーティン・ラゴンダによるロンドン証券取引所への上場により、英自動車セクターは力をつけ、新たな評判を構築した。

ブレグジットの打撃

そして今、国際ビジネスの不安定な性質がまた表面化した。ホンダが欧州連合(EU)に唯一抱えていた生産拠点であるスウィンドン工場を2021年に閉鎖し、最大3500人が失業する見通しであることが分かったのだ。

これは、ジャガー・ランドローバーが先月に4500人の人員削減を発表したこと、さらに日産が「エクストレイル」の次期モデルをサンダーランドではなく日本で生産するとした決定に続くものだ。
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編集=遠藤宗生

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