「日本人は感情のコントロールができなくなった」 ディグラム診断が突きつける現実

木原誠太郎


──あまりいい方向に進んでいなさそうですね・・・。今の日本人の「平均的な性格」をひとことで言うとどういうものになるのでしょうか

ひとことで言えば、「いやいや盆踊りとかダンスをテンポ速めの曲で踊らされている人」でしょうか。「やりたくないんだけど周りが踊っているから俺も踊んなきゃいけない」みたいな感じです。

もう少し付け足すと、2017年のときは世の中が変わっていくスピードについていけなくて、対岸の火事を見るみたいに傍観していたんです。ストレスをためながら。

今はどうかというと、例えば、世の中全体が2020年を目指して動いているからそれに参加せざるをえないとか、平成最後が盛り上がっているから参加せざるをえないとか、TikTokが流行っているから参加しとかないといけないとか、そういったところにストレスを感じているんだと思います。

──なるほど。ディグラム診断でみるとどういった性格に分類されるのでしょうか


今の日本人の性格。論理性(A)が低い。*出典:ディグラム診断

ディグラム診断でいうと論理性が低い「Aボトム型」と呼んでいる性格です。Aボトム型は、色んな所に気を遣っていて空気をすごく読むのですが、突然キレてしまったりなど、自分の感情をコントロールでできない性格。優しかったり人情に厚かったりもするし、でも人見知りだったりと、色んな人格が混在しています。

──感情をコントロールできない人がいやいや速いテンポの曲を踊っている。言われてみると妙な納得感があります

幕末の「ええじゃないか踊り」に近いのかもしれません。

*ええじゃないか踊り : 「ええじゃないか」と歌ったり踊ったり狂喜乱舞していた民衆運動。元々は世直しを訴えるための運動といわれている。

──たしかに。踊るは比喩にしても、大勢の日本人が意思決定を放棄して流れに身を委ねているという状況は近い気がします。意思決定を放棄って昔からあったんですね

でも、この意思決定って難しいんですよ。「意思決定を放棄することは悪だ」みたいな風潮もありますが、僕は一概にはそうとは言い切れないと思っていて。

──どういうことでしょうか

常に意思決定をし続けるのは、常に自分が何者なのかを問い続けることでもあるので、それはそれで苦しいんです。それに、ランチで友だちが選んだメニューに流されることぐらい、別に悪いことではないですよね。

──言われてみれば、そうですね

ランチをハンバーグ定食にするかどうかくらいの決定だったら、意思決定を放棄してもいいんです。では何が問題かというと、これと同じようなノリで生き方や考え方まで意思決定を放棄すること。今の日本人は、そういう根っこの部分まで意思決定を放棄しているように思えて。

重要なのは、自分の意思がどれぐらいあるかを理解したうえで決定をすること。このことを意識してほしいと思います。

踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々



コラム連載第2回は、日本人の性格について熟知している「ディグラム診断」の生みの親である木原誠太郎氏に今の「日本人の平均的な性格」について話を聞きました。

話を聞いていて、「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」という言葉を思い出しました。誰かに意思を委ねて流れに身を任せて踊らされるのではなく、踊るのであれば自分の意思で踊る、踊らないのであれば自分の意思で踊らないと決める。根っこの部分の意思決定は自分することを改めて意識しようと思いました。

木原さん、ありがとうございました。

文=砂流恵介

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