カードとクーポンだらけの財布から、学べることがある

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リターンとディスカウントに違いはあるのか?

投資の世界で、毎年20%近いリターンを上げ続けるというのは至難の業だ。もし仮にそのようなことが出来るのであれば、一生食べるのに困ることはないだろう。ある程度の元手があれば自分の資産を運用してるだけで生きていけるし、仮に元手がないとしても、世界中のヘッジファンドなどの運用機関からすぐにスカウトされるだろう。

なぜそれが至難の業かといえば、簡単に言ってしまえば、誰にも未来は正確に予測できないからである。

一方で、スーパーで2割引きという表示はよくある。このケースは商品をレジにさえ持っていけば、確実に2割引きになることが約束されている。

言うまでもなく20%と2割は同じことを意味しているが、投資で20%のリターンを得るということと、2割引きで商品を買うことの2つを並べると、全く違う印象を持つ人が多いのではないだろうか?

つまり、日常生活において、カードやクーポン、セールをうまく活用することで、本来であればキャッシュアウトしていくはずだった現金を何割か抑えられる可能性があるのだ。将来必要になるお金のために努力をしましょうと言われると、つい資産運用をしなきゃということで投資の話になりがちだが、実際には日常生活で工夫をしていくことで、違う形でお金を増やすことも可能なのである。

ケチとは誉め言葉である

我が家の長女と次女は5歳半と3歳だ。前述のように、お得になるクーポンやカードがあるなら、使わない理由がないと思ってくれている。しかし、不思議なことに、ある程度年齢を重ねると、会計時にクーポンやカードを提示するとケチっぽくてカッコ悪いと思い始める人がかなりの割合でいるようだ。

筆者はあまり気にしないタイプなのだが、友達数名と飲んでいるときに、「彼女とデートした時に、会計でクーポンを提示できるか?」という話題になったことがあり、筆者を除く男性陣は全員提示しないと答えた。その場にいた女性陣も会計時にクーポンを出されたら「クーポンがあるから、この店を選んだの?」と思ってしまうと否定的なコメントがあった。

たしかに、ケチっぽく見える行動なのかもしれない。しかし、筆者はケチでもいいと思っている。見苦しいほどのケチっぷりはいかがなものかとも思うが、コストも時間もかけずにお得な結果を生み出せるのであれば、むしろそれはケチではなくてクレバーと言って欲しいものである。娘たちが将来、どのような男性とお付き合いをするかは分からないが、クレバーな男性をケチだという目では見ない大人に育って欲しいと切に願っている。

連載 : 0歳からの「お金の話」
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文=森永康平

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