・よくある誤解
テスラの株主の間には、フォードとGMがテスラの競合相手にならないことは、両社の能力が不足している証拠であるとの見方がある。だが、それは明らかな間違いだ。
「レガシー企業」である両社は、ガソリン車の生産設備のために巨額の投資を行ってきた。それを踏まえた上で、自社にとっての合理的な決断をしているのだ。また、両社がEV車の開発を急がないのは、現在手掛けるガソリン車との共食いを避けたいためでもある。
3社に対する信頼感
フォードとGMの戦略の背後にある論理的根拠は、理解できたように思う。だが、それでも筆者は、両社に投資する気にはなれない。「確信が持てない」からだ。
両社のトップが自社の計画について率直に語るなら、信頼することもできるだろう。だが、彼らにはそうすることができない。将来におけるガソリン車への依存度の見通しを明らかにすれば、「政治的に正しい」人たちの怒りを買うことになると考えられるからだ。
恐らく両社にとっては、決して実現しないEV計画に口先だけで賛同しておくことが、メディアとの良好な関係を維持するための賢い方法なのだろう。ただ、それでは投資家からの信頼の獲得にはつながらない。
これに対してテスラは、米国の高級車市場で最も販売台数の多いモデルを生産している。さらに、フォードとGMが放棄しようとしているマスマーケットを引き継ぐため、価格の引き下げに努力している。
テスラが時価総額でフォードとGMを上回っていることは、市場がテスラにより明るい未来を見ていることを示すものだ。
3社の企業価値は今後、石油の値動きにも影響を受けることになるだろう。石油価格が上昇すればガス・ガズラーの需要に何が起きるか、それは過去の経験からすでに明らかになっている。
向こう3年間、大きな利益を手にする絶好のチャンスを株主に提供できるのは、3社の中ではテスラだと考えられる。