リーバイスは創業者のリーバイ・ストラウスの子孫である、ハース家の一族により長年、運営されてきた。米国で最も裕福な一族にあげられるハース家は、創業165年のリーバイスの株式の63%を保有している。筆頭株主のMimi L. Haasは17%近い株式を保有し、フォーブスの推定で資産額は最低10億ドルとされている。
2018年5月31日にMOMAのガーデンインパーティーに出席した、Mimi L. Haas
リーバイスは2018年に56億ドル(約6100億円)近い売上をあげ、前年比14%増を記録していた。同社の売上やアパレル業界における優位性を考慮した結果、フォーブスはリーバイスの企業価値を約64億ドルと試算している。また、6名のハース家メンバーの資産の総額を、約40億ドルと推定している。
SECへの提出書類で、リーバイスは今回のIPOで約1億ドル(約110億円)の調達を見込んでいることが分かっている。
リーバイスの起源は1853年に、ユダヤ系ドイツ移民のリーバイ・ストラウスがサンフランシスコのベイエリアに雑貨店を設立した頃にさかのぼる。同社はゴールドラッシュの最中に、炭鉱労働者向けの衣類を販売した。
1873年頃に同社は、デニムのブルージーンズを主力製品とするようになり、それがリーバイスのブランドを築き上げた。それから150年近くが経った今、リーバイスのジーンズは世界5万店以上のショップで販売されている。後ろのポケットについた「Levi’s」の赤いラベルは今や、米国のアイコンとなっている。
創業者のストラウスは生涯、結婚をせず自身の子を残さなかったが、同社の事業は彼の姉のファニーの息子である4人の甥に受け継がれた。
ジーンズは「アメリカの象徴」になった
第2次世界大戦の終了後、リーバイ・ストラウスの子孫らはリーバイスを世界的なアパレルブランドに成長させた。同社の業績は、2011年にCEOに就任したチップ・バーグの手腕により右肩あがりとなっている。
リーバイスは1971年にも上場したが、ハース家がその後、1985年に株式を買い戻し、非公開となっていた。今回のIPOが年内に実現すれば34年ぶりの再上場ということになる。
アパレル業界のアナリストのJohn D Morrisは、現在の市況がジーンズメーカーの上場にふさわしいものであると分析する。「消費者は古き良きアメリカの象徴であるジーンズに親しみを抱いている」と、彼は説明した。
NPD Groupが昨年9月に公開したデータで、デニムジーンズの売上は2018年7月までの1年間で、前年同期比で5%の増加だった。NPDは米国のジーンズ市場の規模を、164億ドル(約1.8兆円)と試算している。
リーバイスはEコマース隆盛のなかでも、ブランドの価値を損なわないとMorrisは述べている。「アパレル消費がオンラインに向かう中でも、大事なのはブランドの認知度だ。消費者がリアル店舗に向かうことをやめ、Eコマースで衣類を買うようになっても、彼らは慣れ親しんだブランドのことは忘れない」とMorrisは話した。