世界大手7社、LGBTIの人権擁護呼び掛け ダボス会議で画期的宣言

Photo by Amal KS/Hindustan Times via Getty Images


8年経った今、各国政府はこのメッセージを拡大させ、外交問題として頻繁に取り上げるようになった。また、2011年に国連人権理事会が、人権と性的指向、性自認に関する決議を初めて採択したことも、世界での問題意識の高まりを反映している。

だが、政府による外交は世界規模の進歩を実現するには不十分であり、民間セクターも重要な役割を担っていることは明らかだ。だからこそ、『世界のLGBTIの平等に向けたパートナーシップ』と世界経済フォーラムが果たす役割は極めて重要になる。

多国籍企業は、グローバル化がますます進む今日の経済で大きな役目を負っている。こうした企業は、ビジネスを展開する国々の政府に大きな影響力を発揮するとともに、こうした差別的慣習が経済にもたらす悪影響を理解し、人々に知らしめるために一役買うこともできる。

国連エイズ合同計画(UNAIDS)が2017年に公表した調査結果によると、LGBTI差別が世界経済に与える損失は年間1000億ドル(約11兆円)に上る。この認識は、今回のダボス会議でグローバル企業7社が協力した理由のひとつだ。

アクセンチュアのサンダー・バント・ノールデンドは「LGBTIの受け入れは対人関係の視点から正しいことであるだけでなく、ビジネス上の必須事項でもある。なぜならCEOたちは、平等の文化が信頼やイノベーション、さらにはビジネスの成長につながることを理解しているからだ」と指摘した。

世界経済フォーラムと『世界のLGBTIの平等に向けたパートナーシップ』は、2020年までに同フォーラム参加企業50~100社の協賛を得ることを目標に掲げた。この取り組みは、2017年に国連が発表したLGBTIに関する行動基準に基づいている。この行動基準は、企業が従うべき人権と方針の枠組みとなるものだ。

米国では、1969年に起きたストーンウォールの暴動をきっかけに、同性愛者の権利向上を求める運動が始まり、現在までに大きな成果につながった。特に重要だったのが、世紀の変わり目に起きた2つの出来事だ。
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編集=遠藤宗生

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