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2019.02.19

第2本社計画頓挫のアマゾン 欠けていた「インフラ企業」の自覚

アマゾン第2本社建設計画に反対するロングアイランドシティーでのデモ(Photo by Stephanie Keith/Getty Images)


アマゾンは、納税者からの資金調達に当たって、支援の連合体を形成する努力をせずに、都市同士を競わせることで資金を調達した。また、地元の文化や懸念をしっかり時間をかけて理解しようとせず、その代りにニューヨーク市民の70%が本社建設を支持しているとする出典不明のデータを計画続行の根拠とした(キニピアック大学による実際の世論調査での支持率は60%未満だった)。

しかしニューヨーク市は異なる行政区で構成されており、それぞれが独自のアイデンティティーを持っている。支持派が全ニューヨーク市民の半数を若干上回ったからといって、全区の過半数の支持を得たことにはならない。

ニューヨーク市での世論調査結果が、ニューヨーク全域の世論を代弁するとみなしたアマゾンは、配慮に欠けている。もっともひどいのは、批判派と歩み寄りをせず、地元の損害ではなく利益のために闘うこともせずに、ただ撤退したことだ。

アマゾンは世界経済に、膨大な付加価値をもたらした。人々の生活をより便利にし、高報酬の雇用を数多く生み出した。多くの配送センターと優れた物流能力を有するアマゾンはさまざまな意味で、電子商取引企業というよりはインフラ企業だ。

アマゾンはインフラ企業として、事業を展開する地域のコミュニティーにもっと配慮する必要がある。アマゾンは確かに営利を追求する上場企業ではあるが、他の多くの偉大な企業のように、自社が経済インフラの一部であると自覚さえすれば、それ以上の存在になり得るのだ。

編集=遠藤宗生

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