放送作家・脚本家、「くまモン」の生みの親。

イラストレーション=サイトウユウスケ

放送作家・脚本家の小山薫堂が「有意義なお金の使い方」を妄想する連載第42回。熊本県営業部長「くまモン」から、森井ユカさんとつくった「くんトン」まで……。筆者の考える、キャラクターの上手なつくり方と育て方とは?


地方創生や企業ブランディングなどの仕事を請け負う僕のところには、「キャラクターをつくってほしい」という依頼がよくある。もちろん、くまモンの影響だろう。

一地方のマスコットキャラクターとして出発したくまモンが、毎年その経済効果が発表されるまでに成功した理由は何か。僕なりに挙げると、(1)メッセージ性が薄い、(2)担当者の愛情が深い、(3)公共性があるだと思う。

ご存じの方も多いと思うが、くまモンは、熊本県庁が2010年より展開している「くまもとサプライズ」という地域振興キャンペーンで生まれた “おまけ”。ロゴデザインをお願いしたアートディレクターの水野学さんが「キャンペーンはキャラクターがいたほうが伝播しやすいのではないか」と言って、ロゴとともにイラストを持参したのが始まりだ。

つまり、最初から何かの宣伝を目的につくられていない──ご当地の城や食べ物を無理やり造形に組み込んでいない──ので、キャラクターのメッセージ性が非常に薄い。県の職員もその誕生を心から面白がり、すぐさま熊本の良さをPRするキャラバン「くまモン隊」を結成した。

くまモン隊は、県内のお祭りやTV番組、幼稚園や保育園などに出張したのち、大阪での活動をスタート。当初は熊本との関係を伏せ、謎のキャラクターとしてさまざまな場所に神出鬼没した。そしてあれよあれよという間に全国区になっていったのである。

誰かの「これで儲けよう」というような思惑がなかったため、職員や一般の方々誰もが自然と“人”に接するようにくまモンに接したことは大きい(着ぐるみだとは誰も思っていないと思う)。その結果、万人によって見られ、聞かれ、かつ評価される公共的存在になっていったのではないかと僕は推測する。

そんなくまモンに続け、という意味ではまったくないのだけど、昨年(2017年)、造形作家の森井ユカさんと一緒に新たなキャラクターをつくった。その名も「くんトン」です!

“ペットを飼う感覚”でつくってみる

くんトンは、月の裏側の大きなクレーターの中にある小さな国「ドリクシー」に住んでいる大学生。おいしいものが大好きな、日本の食や文化のマニアで、ひょんなことから日本の会社N35(僕の経営する放送作家事務所)に見習い社員として働くことになった。仲間もたくさんいる。

例えば、日本の飲食店取材に奔走する「だんチュー」、物静かな王女「プリンセス・ショー・ユー」、王女の教育係で年老いたバターという意味の「ソノノント先生」、フライパンに似た城の門番「プッパパン」など……。

そのようなアイデアを僕と森井さんで出し合い、キャラクター展を行ったのが昨年12月。今年4月には樹脂粘土でキャラクターをつくる「大人の粘土教室」を開催し、現在はポーチや手ぬぐいなどのグッズを販売している。その後、台湾の仕事で知り合った方にくんトンを見せたら、非常に気に入ってくださり、この12月、公式HPを日本 / 台湾併用で公開、LINEスタンプも日本 / 台湾で発売された。

ありがたいことに、予算がどうでこれだけ儲けようみたいなことは一切言わない。まだ売れていないアイドルがいて、「意外と可愛いから、みんなで応援しよう!」というような想いで関わってくれている。

イラストレーション=サイトウユウスケ

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