在宅で残業50時間、信頼で成り立つスウェーデン的ワークスタイル

Westend61/Getty Images

「スウェーデン人は残業しない」などとよく言われるが、実際はそんなことない。圧倒的に少数派ではあるが、彼らだって残業をする時はある。

先月、私の残業時間は50時間だった。これは異例中の異例で、このようなことは3年間この国で勤めて初めてのことだ。担当プロジェクトがピークを迎えており、あと2カ月ほどこのペースは続きそうだが、それ以降は元に戻るはずだ。しかし、少々ユニークなのが、この50時間の残業はすべて在宅ワークによるものなのだ。

写真は私の自宅オフィスだ。子供たちが通う就学前学校(スウェーデンでは幼保一体)が時折職員会議で休みになる。こういう日、私は在宅勤務となる場合が多く、膝の上に次女を座らせて働くこともしょっちゅうだ。



ここ最近の私の一日を紹介しよう。

06:30 起床
08:00 子供達を就学前学校へ送る
08:30 会社での勤務開始
16:00 会社での勤務を終えて、子供たちを迎えに行く
16:30 帰宅
17:00 夕食→子供たちと遊んだり家事をこなしたり
19:30 子供たち就寝→仕事
23:30 就寝

会社にいる時間は08:30~16:00となり、正規勤務時間に対して1.5時間ほど不足している。また、会社にいる間は、私の職責上、会議に次ぐ会議で自分のデスクに戻れることは滅多にない。会議の合間にデスクにいてもいろいろな人が来て相談や承認作業に追われてしまう。

こうした背景もあり、夜間の子供たちが寝た後に数時間、家で静かに働くのは私にとっては集中できる環境となり、ミスも少なく、自身の仕事のクオリティにも納得ができている。また、この夜間の勤務が残業時間として計上されており、自己申告となっている。嘘もつけるが、そこは信頼関係で成り立っており、結果さえ伴っていればまったく問題ない。

フランスの海沿いで在宅勤務

もちろん、特殊な働き方をするのであれば、予め上司の許可を得る必要はあるが、スウェーデンでは個々の事情に応じて働き方を柔軟に変えていくのが普通であり、私のような働き方も何ら珍しいことではない。よって、上司はふたつ返事でOKを出してくれる。

私以外にも特殊な働き方をしている社員は多く、例えば家が遠いために週1日は在宅勤務という人もいれば、フランスの海沿いで在宅勤務する人もいる。私の隣の席の同僚は、週4日勤務の契約で、毎週3連休をエンジョイしている。
次ページ > 働く仲間を信じること

文=吉澤智哉

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事