La redazione di Forbes.


19世紀に誕生した伝説のブランドを現代的に解釈し直しつつもそのDNAは守る。明確なビジネスプランだ。

「世界の市場にわれわれのプレゼンスを強く誇示する必要があります。まずはアメリカ市場ですね。小売、卸売、eコマースへの投資が重要です。eコマースについては、ロジスティクスの面で、帽子という製品には難しいところもありますが。アジア市場にも大きな魅力を感じています。とくに日本市場については、日本のグループとのジョイントベンチャーにより、今後5年間で約1千万ユーロ(約1億2500万円)の事業規模にしていきます」

手ごわい市場である中国にも、明確な商業戦略を武器に参入する覚悟という。

「中国の消費者には、現代的なモデルを提案することで、帽子を身につけることに慣れてもらう必要があります。それから、よりセクシーなものであったり、フェミニンなもの、実用的なもの、グラムール(魅力的)なもの、そして『ロックな』製品を開発していく必要があるでしょう」

イタリア人フォトグラファー、ジョセフ・カルドがプロデュースした2018秋冬の広告キャンペーンには、すでに、カンペーリオが目指すそういった多様性が投影されている。

「注目しているのは女性向け市場参入、そして、ミレニアル世代からのロイヤリティ獲得です。私が加わった当時、女性向けは全体の20%でしたが、現在は30%にまで拡大しています。50%になる日もそう遠くはないでしょう」

だが、女性よりも難しいのはなんと言っても、ミレニアル世代を振り向かせることだという。

「この世代の高級品に対する感覚は、ほかの世代とは違っています。彼らはトレンドやコミュニケーションの仕方に敏感なため、明確なコミュニケーション・ストラテジーで対応していく必要があります。

われわれにとって重要なのは、この世代の人たちに、なんとなく自然に、気に入ってもらう商品を提供することですね。だから彼らにとっての価値観が、われわれ企業の価値観と合っていなければならない。いろいろありますが、たとえばサステイナビリティへの意識とか」

帽子以外の商品への参入計画についても、カンペーリオはこう言う。

「2020年から2022年にかけて、小さな革製品、旅行用バッグ、手袋といったアクセサリー分野への参入も検討を始めていきます。いずれも、ボルサリーノのイメージを反映するようなものになるでしょう」

実店舗のコンセプトを定義し直す動きも始まっている。実店舗をボルサリーノの特別な場所、かつ文化スペースとし、カスタマーを「ブランドを発見する旅」に誘うような、ストーリーのある場とするのが目的だ。

「ボルサリーノのブランドを掲げたブティックでは、販売員こそがブランドの真の『親善大使』と言っていいでしょう。エンドカスタマーとじかに接する販売拠点を通してこそ、顧客ロイヤリティを高められるからです。カスタマーは、まずブランドとの絆を感じた後で、製品を購入するんです。

アメリカにブティックを2店舗オープンする準備中です。ニューヨークとマイアミです。ボルサリーノの店舗はイタリアにはミラノとフィレンツェにありますが、ポルト・チェルヴォ(サルデーニャ島のリゾート地)やコルティーナ、カプリ島などに、地元の協力を得て新しいショップをオープンできる可能性もあると思います」

フィリップ・カンペーリオとボルサリーノの神話はまだ幕を上げたばかりだ。ブランドの向かう先は、ミレニアル世代という市場ポテンシャルの追求、そしてイノベーションのようだが、ブランドの底力であるすばらしい伝統が見失われることはないだろう。

ボルサリーノというブランドにとってのカンペーリオは、成功と失敗を繰り返し、苦楽をともにしながらブランドの成功に喜びを見出す、いわばバンドのフロントマンのような存在だ。

そして、かつて世界を駆け巡り、銀幕を飾った「メイド・イン・イタリー」の偉大なブランドを、文字通り「灰の中から」蘇らせた人物でもある。

翻訳=大村紘代 編集=石井節子 写真=Forbes Italia提供

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