ビジネス

2019.02.18

創業から19年目。建設業界のオンライン化を促進させる「ユニオンテック」が9.7億円を調達

ユニオンテック代表取締役社長の韓 英志


「オフライン市場のオンライン化」のプロが成長を牽引

2016年のリリース以降、わずか2年で登録企業数は7000社を突破。月間で数億円の工事受発注が行われるほどの規模に成長している。その成長を牽引したのが、2018年9月に社長に就任した韓 英志だ。

韓は東京大学大学院工学系研究科建築学専攻終了後、2005年にリクルートに入社。SUUMOに携わった後、2011年からグローバル事業の立ち上げ、欧米・ASEAN市場で投資・買収を推進。2015年にベルリンの飲食店予約サービス「Quandoo GmbH」をリクルートが271億円で買収した案件をリードした後、マネージングディレクターとして経営執行に従事した。

「個人的にはQuandoo GmbHでの仕事はやり切った感覚があって。大学時代に建築を学んでいましたし、今後は大きな社会課題を解決することに関わりたいと思っていました」(韓)

そんな思いを胸に秘めていたときに、知人を介して、大川と出会った。数時間、飲みながら話をして、韓はユニオンテックに2018年1月にジョインすることを決める。

「UT SPACEの利益をすべてネット事業に投資している。その思い切りの良さがすごいなと思いましたし、この人になら賭けてもいいと思ったんです。また、自分のキャリアはオンライン化が遅れた市場のオンライン化をやってきているので、これまでの経験が活かせる。スタートアップする道も考えましたが、自分がイチから立ち上げたサービスでは職人の理解を得ることは難しいし、自分にはできない。建設業界での歴史があるユニオンテックでやった方が、職人の人たちの理解も得やすい。何よりも大川と一緒にやりたいと思ったので、ユニオンテックで働くことを決めました」(韓)

ユニオンテックに入社後、大川が立ち上げていた15のネット事業のうち、13を一気にクローズ。社内のリソースをリリース済みだったSUSTINAと、リリース予定だった建設職人シェアリングアプリCraftBankのβ版に注力することを決める。

CraftBankは工事依頼主と職人を直接つなぐサービスで、職人は通常よりも高い工事単価で仕事ができ、工事依頼主は通常の工事よりも4割安い価格で仕事を依頼できる。

また、韓はネット事業の採用にも注力。ユニオンテックは建設業の職人が中心だったが、大手のIT企業で活躍してきたが行き過ぎたテックに飽きたテック人材、そしてスタートアップのCXOとして失敗した人物たちを採用していき、新たなサービスを立ち上げていった。



どちらの人材も視座が高い点が共通しているという。「開発したサービスが、すぐにターゲットユーザーである職人に使ってもらえるのでローンチ前にテストできる。これは他にない環境」と韓は言い、それが採用に良い影響を与えているという。今後も採用を強化し、チームの規模を拡大して開発スピードを加速させていく。

「オフライン市場のオンライン化は誰かがやる。10年後にはきっと変わっているんでしょうけど、その10年間で苦労する人がいる。その時間軸を縮めるためにリスクをとってでも事業に投資していこうと思い、今回、資金を調達しました。あとは2020年の東京五輪に向けて建設業界がグッと盛り上がるタイミング。いまがアクセルを踏むときだと思っています」(韓)

文=新國翔大 メイン写真=小田駿一

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