ビジネス

2019.02.18 11:00

創業から19年目。建設業界のオンライン化を促進させる「ユニオンテック」が9.7億円を調達

ユニオンテック代表取締役社長の韓 英志

ユニオンテック代表取締役社長の韓 英志

創業19年目──この数字だけ切り取るとスタートアップっぽく聞こえないかもしれないが、現在を“第二創業期”と位置付け、建設業界を変革しようとしている企業がある。建設業界特化のBtoBマッチングサイト「SUSTINA(サスティナ)」や建設職人シェアリングアプリ「CraftBank(クラフトバンク)」を手がける、ユニオンテックだ。

同社は2月18日、シリーズAラウンドで9.7億円の資金調達を実施したことを発表した。引受先となったのはDCMベンチャーズ。

今回調達した資金をもとに、ユニオンテックはSUSTINAとCraftBankの開発スピードを加速させ、工事マッチング総額の最大化に努めていくという。

今回の調達にあたって、DCMベンチャーズの日本代表 本多央輔はこうコメントしている。

「ユニオンテックは、長らく建設業界で経験を積んできた大川氏とリクルートで数多くのネットビジネスを成功に導いてきた韓氏がタッグを組むという業界でも類を見ない強力なチーム構成となっています。DCMベンチャーズはこれまでの米国、日本、中国における数々の投資実績、成功事例を踏まえ、大川氏と韓氏が牽引する建設業界向けのインターネットサービスは、甚大な市場規模を誇る同業界にポジティブインパクトをもたらし、そこで働く職人のみなさまに新たな価値提供ができると感じ、投資を決断しました」(本多)

建設業界における「情報の非対称性」を解決したい

ユニオンテックは2000年に創業。もともとクロス職人だった、大川祐介(現:代表取締役会長)が20歳のときに立ち上げ、最初はクロス・床などの内装仕上げ工事業を手がける会社としてスタートした。

その後、オフィスやショップを中心にブランディング・設計・デザイン・施工をトータルでプロデュースする空間創造事業「UT SPACE」を展開。スタートアップへの投資環境が好調なこともあり、資金調達後のオフィス移転のタイミングで発注される機会が増え、右肩上がりで事業が成長していったという。

UT SPACE事業は営業がおらず、案件はすべて紹介によるもの。これまでにCandeeやTencent Japan、トレンダーズなどIT系スタートアップのオフィスを中心に合計6000件以上の施工実績を持ち、UT SPACE事業の売上は28.5億円(2017年時点)を計上している。



事業基盤を確立し、順調に成長を遂げていった一方で、大川は建設業界に対して、ずっと課題を感じていた。その課題が「情報の非対称性」だ。

建設業界は年間51兆円と国内で2番目の市場規模を誇るものの、アナログな要素が多く、課題は多い。今なお建設業界は多重請負構造によって受発注の構造が複雑化しているほか、電話やFAXなど非効率なオフラインでのやり取りが多い。



その結果、工事発注者の約90%が「職人不足」の課題を感じ、工事価格や工事の遅延などが社会問題となっている一方で、職人や工事会社の約70%が次回の工事が確定できていない状況に陥っている。また、多重請負構造によって中間マージンだけで3兆円の市場規模があるほどで、なかなか既存の仕組みから脱却できずにいる。

そんな旧態依然とした建設業界の仕組みをインターネットの力で変える──そんな大川の強い思いのもと誕生したのが、マッチングプラットフォーム事業のSUSTINAだ。建設業界の約7割を占める従業員数10名未満、売上1億円未満の企業にターゲットを絞り、オフラインで行われていた工事の受発注をオンラインで完結できるようにしている。
次ページ > 2年で登録企業数は7000社を突破

文=新國翔大 メイン写真=小田駿一

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事