中華航空のパイロット約600名が、2月8日からストライキを行った。その結果、労働組合と会社側は2月14日には合意に達した。
台湾の会社員は夜遅くまで働くことで知られている。明確なルールを定めないまま、社員に残業を命じる企業もある。夜中まで働くことを、会社への忠誠心と捉える企業カルチャーも台湾には残っている。過労は病気の原因にもなるが、航空会社でこのような状況を放置することは非常に危険なことだ。
「疲れきった状態で航空機を操縦することは、重大なリスク要因になる」と香港USB銀行で航空アナリストを務めるEric Linは話す。
中華航空は1966年から2016年の間に、26件の事故やその他のインシデントを起こしていた。創業60年の同社は労働環境の改善に取り組んできたが、今回のストライキは依然として中華航空が課題を抱えていることを示している。
中華航空では1350名以上のパイロットのうち、900名が参加する労働組合と経営側が、2017年から交渉を続けてきたが、合意に至らず、今回のストライキが起きた。同社の広報部はパイロットの過剰労働に関するコメントは避けたが、社内に問題が生じていることは認めている。
中華航空のパイロットの平均年収は1万6000ドル(約1770万円)とされる。同社は年間で1460万ドルのコストを新規のパイロット採用にあてているが、組合からは労働環境に対する不満の声が強かった。
今回のストライキにより中華航空は174便を欠航させた結果、1億2300万ドル(約13.5億円)の損失を生み出すことになった。同社は通常であれば週あたり1400便を運航しており、世界の100都市に向けて年間700万人を運んでいる。
中華航空は1990年代には、世界で最も利益率の高い航空会社の5社に入っていた。1993年の売上は17億ドルで、利益は1億2500万ドルだった。しかし、2017年の同社の売上は45億ドルに到達したものの、利益は7100万ドルまで落ち込んでいた。
同社の組合はパイロットの疲労を軽減するために、フライトに搭乗するクルーの増員を求めていた。会社側と組合は2月13日に、11時間をかけた話し合いの場を持ち、組合側が提示した10ルートのうち5ルートで、増員を行うことで合意した。
2月14日にストライキは終結となり、15日からはようやく通常運航に戻った。