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Adriano Castelli / Shutterstock.com

2018年は世界的オークション会社「サザビーズ」にとって特別な1年だった。

ロンドンでは100万ポンド(約1億4000万円)の値がついたバンクシーの絵画が、落札後に額に内蔵されていたシュレッダーで切り刻まれ、NYではロマネ・コンティが1本のワインとしては最高額の55万8千ドル(約6300万円)で落札された。

サザビーズ世界各国の2018年落札額ランキングから、何が見えてくるか。サザビーズジャパン代表取締役会長兼社長石坂泰章に聞いた。

アートの世界でも「多様化」が進む

2018年の落札額ランキングトップ10には、印象派からアジア近代アート、現代アートの作品が並び、様々な分野の作品がトップ10に揃いました。10年前の年間落札ランキングと異なる点は、作品の「多様化」です。以下がトップ10です([]内は、オークションの開催地、カテゴリー、落札額)。


(c)Sotheby’s

アメデオ・モディリアーニ(1884 -1920)
〈NU COUCHÉ (SUR LE CÔTÉ GAUCHE)〉
[ニューヨーク/印象派・近代美術/約1億5700万ドル(約173億円)]


(c)Sotheby’s

ザオ・ウーキー(1920 - 2013)
〈JUIN-OCTOBRE 1985〉
[香港開催/アジア近代美術/約5億1000万香港ドル(約74億円)]


(c)Sotheby’s

パブロ・ピカソ(1881 - 1973)
〈FEMME AU BÉRET ET À LA ROBE QUADRILLÉE (MARIE-THÉRÈSE WALTER)〉
[ロンドン開催/印象派・近代美術/約5000万ポンド(約73億円)]


(c)Sotheby’s

〈ブルボン=パルマ家ロイヤルジュエリーコレクション フランス王妃マリー・アントワネットが所有していた天然真珠とダイアモンドのペンダント〉
[ジュネーブ開催/約3700万スイスフラン(約41億円)]


(c)Sotheby’s

パブロ・ピカソ(1881 - 1973)
〈LE REPOS〉
[ニューヨーク開催/印象派・近代美術/約3700万ドル(約40億円)]


(c)Sotheby’s

パブロ・ピカソ(1881 - 1973)
〈BUSTE DE FEMME DE PROFIL (FEMME ÉCRIVANT)〉
[ロンドン開催/印象派・近代美術/約2700万ポンド(約39億円)]


(c)Sotheby’s

ジャクソン・ポロック(1912 - 1956)
〈NUMBER 32, 1949〉
[ニューヨーク開催/コンテンポラリーアート/約3400万ドル(約37億円)]


(c)Sotheby’s

ゲルハルト・リヒター(1932-)
〈ABSTRAKTES BILD〉
[ニューヨーク開催/コンテンポラリーアート/約3200万ドル(約36億円)]


(c)Sotheby’s

ジャン=ミシェル・バスキア(1960 - 1988)
〈FLESH AND SPIRIT〉
[ニューヨーク開催/コンテンポラリーアート/約3700万ドル(約34億円)]


(c)Sotheby’s

〈中国美術琺瑯彩花卉文碗、清康熙〉
[香港開催/約2億4000万香港ドル(約33億円)]


(c)Sotheby’s

〈中国美術経典、明宣徳〉
[香港開催/約2億4000万香港ドル(約33億円)]

ザオ・ウーキーの〈JUIN-OCTOBRE 1985〉が2位に入ったことにも、時代の変化を感じます。10年前のランキングは欧米諸国の作品が中心で、印象派が上位を占めていました。中国のアーティストがベスト3に入ることは想像もできませんでした。

当時、コレクターは欧米諸国に集中していましたが、この10年で中国人コレクターが台頭してきました。それに伴い人気を集める作品が多様化するのは当然です。

ピカソ、リヒター、ウーキーなどの作家は、現在高価格帯で安定しています。ただ、これからも、ランキングに入る作品の多様化が進み、黒人アーティストや女性アーティストの作品もより多くランクインするでしょう。

昨年、アメリカ人ラッパー、ショーン・コムズ氏が黒人アーティスト、ケリー・ジェームス・マーシャルの「Past Times」を約23億円で落札したことも、アートビジネス界の大きな変化のひとつと言えます。

最近、アメリカの美術館では、黒人アーティストの企画展の割合を増やそうという動きも出てきました。

構成=守屋美佳

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