現在、投資先として売り込まれている事業はたくさんある。投資の機が熟した市場外事業を一足先に見つけたいと思っている投資家でさえ、選択肢は有り余るほどだ。では、投資の可否を決めるものは何なのだろう?
スタートアップがさまざまな投資ラウンドを進むにつれ、各要素の重みには違いや変化が生じるものの、事業の売り込みにかける時間を減らし、さらなる資本を得るために理解し、マスターできることは確実にある。
起業家としてのあなたの人物像
この要素は、資金調達の後期ラウンドよりも初期ラウンドの方ではるかに重要になるものの、常に考慮される要素だ。創業者であるあなたは、どのような人を自社の投資家や共同所有者として受け入れるかについて、こだわりがあるはずだ。それが資本を持っている側になれば、好みはさらにうるさくなることを心に留めておこう。
好感が持てる人柄は良い特徴だが、絶対に必要なのは相手に信用されることだ。そしておそらく最も大事なのは、忍耐力があり、諦めず、利害関係を念頭に置いた上で良い決断を下せることだろう。
プレシードラウンドやシードラウンドで投資家の判断基準となるものは、ほぼこれだけだ。
理念
投資資金を持っている側は、自分の思うままにそれを使える。投資先の選択肢は数万社存在する。そうした会社の多くは強健な企業であり、経営状態や担保が他のスタートアップよりも良好で、有名な役員や顧問を取締役に抱えている。よって投資家は、その会社の理念も気に入る必要がある。投資家は、あなたが解決しようとする問題や、成功の可能性を信じる必要があるのだ。
機会の大きさ
あなたのスタートアップは、世の中に対してどれほど大きな影響を与えられるだろう? 市場全体の規模はどれほどで、そのうちあなたの企業が参入可能な市場はどれくらいだろうか? マーク・ベニオフのセールスフォース・ドットコムよりはるかに大きな市場に参入可能だとすれば、年間売上高は100億ドル(約1兆1000億円)、時価総額は1020億ドル(約11兆3000億円)の規模なので、投資家にとっては魅力的だ。
企業の売り込みのためのプレゼンには、市場について説明したスライドが1~2枚はあるはずだ。そこに書かれたターゲット市場規模が10億ドル(約1100億円)を超えない場合、目の肥えた投資家の関心を引ける可能性はとても低いだろう。
投資家が将来の株式売却時にどれほどの利益を得られるかも忘れないこと。100倍以上のリターンを実現できる会社はほとんどないが、10倍ならどうだろう?
プレゼン
素晴らしいアイデアや、企業のレジリエンス(回復力)を示す過去、優秀な人材、輝かしいデータがあり、業界を理解していて、それを裏付ける調査結果があったとしても、優れたプレゼン能力は必要だ。
これは、最初の電子メールや接触時にも当てはまる。プレゼンは一種のアートなのだ。プレゼンが終わった後は、投資家からの基本的な質問にしっかりと答えられなければならない。あなたの反応や隠されている個性を見るための難しい質問を重ねられることも予測しておこう。