レイオフの対象となるのは、ゲーム開発部門ではなく管理部門の人員だという。アクティビジョン・ブリザードの2018年の通期売上は75億ドル(約8290億円)で、前年比7.1%の上昇だった。全体売上は当初の見通しの約73億ドルを上回ったものの、ゲームの売上は予想の72億6000万ドルを3%下回った。
看板タイトルの「Destiny 2」のデベロッパーのBungieが独立したことにより、アクティビジョン・ブリザードは2019年の発売タイトル数を減らすことになる。また、「オーバーウォッチ」や「ハースストーン」などの人気タイトルのユーザー数も低迷しており、同社は2019年の売上見通しを、60億ドルにまで引き下げた。
アクティビジョン・ブリザードは非開発部門の人員削減を行う一方で、主力タイトルの「コール オブ デューティ」や「オーバーウォッチ」「ウォークラフト」「ハースストーン」「ディアブロ」「キャンディクラッシュ」の開発者数を、20%増員すると述べている。
レイオフの噂は先週から浮上しており、社内のブリザード部門とアクティビジョン部門の組織再編も2018年の末から囁かれていた。アクティビジョン・ブリザードは2007年に、アクティビジョンとフランスのヴィヴェンディ(ブリザードの親会社)が合併して誕生していた。
同社は社内が一枚岩であることを強調しているが、今回の人員削減は主にブリザード内で行なわれると噂され、旧アクティビジョン陣営の負担が増すことになる。
一方で、競合のエレクトロニック・アーツは、「タイタンフォール」からスピンアウトしたバトルロワイヤルゲーム「Apex Legends」が、1週間で2500万人のユーザーを獲得する成功を収めている。バトルロワイヤルのジャンルでは「フォートナイト」や「PUPG」が世界的人気を確立したが、アクティビジョン・ブリザードはこの分野に出遅れた。
アクティビジョン・ブリザードはMOBAジャンルのゲームでも苦戦している。同社傘下のブリザード・エンターテイメントの「ヒーローズ・オブ・ザ・ストーム」の売上は、競合の「リーグ・オブ・レジェンズ」を大きく下回っている。
ゲーム業界では、コンテンツの重要な部分へのアクセスを無料提供するF2P(フリー・トゥ・プレイ)型の課金モデルが隆盛を誇っているが、アクティビジョン・ブリザードの「オーバーウォッチ」はこのモデルには適合しない。
ただし、今回の決算発表を受けて、アクティビジョン・ブリザードの株価は上昇となった。同社株は41.67ドルで決算発表当日の取引を終えたが、その後は43ドル付近まで上昇した。