フリーライター/エディター


──日本で開発した片付け術がそのまま海外でも通用したということですね。

はい。アメリカと日本の住環境は大きく違います。アメリカはとても家が広く、とくにみなさんガレージを物置のように使います。私は東京のマンション暮らしだったので、「人はこんなに物を持てるのか」と改めて驚きました。日本でも活動の中でいろんなおうちを見てきましたが、アメリカはレベルが違います。

一方、それだけたくさん収納スペースがあっても、「ものを置ききれない」「片付けきれない」といった悩みは変わりません。片付ける際の自分なりの基準を知ること、そして一つ一つのものに感謝をすることの大切さは、国境を超えても変わらないと感じました。

評価されたのは、「片付けに対する精神性」


Photo by Marco Piraccini / Mondadori Portfolio / Mondadori Portfolio via Getty Images

──日米で反応に違いはありましたか?

日本ではまず主婦向けの生活雑誌やお昼の情報番組で生活術として取り上げていただきましたが、アメリカでは早くからニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルに取り上げていただきました。

この違いは、「片付けに対する精神性」に着目いただいているからだと思っています。アメリカにも片付け術のコンテンツはあるのですが、ほとんどは効率的にモノを整理するためのコンテンツ。日本のように、書店に片付け専門の書棚もありません。

──片付けに対する精神性とは?

私は、片付けを物理的な整理整頓ではなく、自分の価値観や人生を見つめ直すための行為だと捉えています。だから物を捨てるかどうかも「ときめく」かどうかを判断基準にしているんです。

モノへの感謝や家への敬意も大切にしています。「洋服をたたむときは感謝の気持ちを込めて」というと日本では納得いただけることが多いのですが、アメリカだと頻繁に「なぜ?」と尋ねられます。彼らにとっては片付けを通して物事に感謝することは、彼らにとっては新鮮なのでしょうね。

片付けを経験された方から、「マインドフルネスや瞑想に近い経験だったよ」と感想をいただくことも多いです。

──一方で、「なんでも片付ければいいわけではない」など、批判的な声も少なくないようです。

一定の批判は仕方のないことですが、誤解に基づく意見も少なくないですね。例えば、読書家の方からは「近藤は本を持つのは30冊までにしろというが、それでは少なすぎる」と批判をいただきました。

ですが、私はとっておくべきモノの数を制限したことはありません。全ての本にときめくのなら、一冊も捨てる必要はないはずですよ。

一方でこうした論争が起こるのは、悪いことではないと思っています。いろんな人の片付けに対する意見を聞く事で、自分の価値観を自覚することができるからです。

片付けやモノをもつことはその人のアイデンティティに直結しています。つまり、片付けの議論で敏感に反応してしまうトピックは、あなたがこだわっているトピックなんです。これをきっかけにみなさんが何にときめくのか、何が自分にとって幸せなのか考えてもらえるといいですね。

文=野口直希

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