そのベゾスは現在、離婚に向けた手続きを進めているところだ。夫妻が婚前契約を結んでいたかどうかは不明だが、何らかの取り決めがない限り、離婚が成立すればベゾスの財産の半分は、妻マッケンジーのものとなる。夫妻が暮らすワシントン州は、婚姻期間中に築いた財産を夫婦共有のものと定めている米国でも数少ない州だ。
ベゾスが資産のうち約660億ドルを失ったとして、彼がそれを取り戻すことはできるだろうか──?それは可能なことだろう。
ただ、離婚で保有するアマゾン株が半減することと現在の株価の水準から推測すれば、ベゾスが資産を660億ドル増やすためにはアマゾンが今後、売上高成長率を30%に引き上げ、それを向こう数年にわたって維持する必要があると考えられる。
さらに、今年その成長率30%を実現するには、昨年およそ2200億ドルとなった売上高に、今年は660億ドルを上乗せする必要があるとみられる。
カギを握るアマゾンの成長率
アマゾンの株価は、昨年8月のピーク時につけた2050ドルから23% 余り下落し、ベゾスの資産は当時よりおよそ360億ドル減少している。同社が先ごろ行った昨年10~12月期の決算発表では、今後の成長鈍化や新規事業にかかるコスト増大の見通しが示され、株価はさらに下落した。
一方、決算結果には朗報も含まれていた。同期の売上高と利益はいずれも、予想を上回っていたのだ。つまり、同社の成長速度に関する株主の期待感が高まれば、株価は上昇すると考えられる。
アマゾンが今年、売上高の伸び率30%を実現するために必要となるのは、次の2つのことだ。
1. 巨大市場への進出
アマゾンほどの規模がある企業が成長を続けるには、急速な成長を遂げる巨大市場に狙いを定める必要がある。
米国のeコマース市場は、調査会社スタティスタによれば5050億ドル規模。また、ガートナーによれば、クラウドサービス市場規模は昨年の時点で1760億ドルだ。さらに、ネット広告業界団体インタラクティブ・アドバタイジング・ビューロー(IAB)によると、デジタル広告市場は1000億ドル規模となっている。