まずは呼吸し、こうした状態を経験しているのは自分だけではないことに気づこう。このように自信を喪失した状態は、インポスター症候群と呼ばれている。米国の心理学者ポーリン・クランスとスザンヌ・アイムスは、この症状を「高い実績があるにもかかわらず、自分には知性や能力、創造性がないと信じてしまう人が持つ、詐欺を行なっているような感覚」と説明している。
次に、その状況から一歩引き、そもそも自分がどのようにして現在の立場に到達したのかを分析しよう。あなたがそこにいる理由は、努力が認められたからだ。今この時に挑戦を受け入れるかどうかはあなた次第だ。
ここでは、新たな役割を担うときに役立つ3つのコツを紹介する。
1. ためらわずに助けを求める
たとえ地位が高かったとしても、新たな職務を担うことには変わりない。すぐに全ての質問に答えられることを期待されている人などいない。そのため、新たな役割に就いてから支援を求めることで能力が低いと思われることはない。実際はその逆で、ハーバード・ビジネス・スクールとペンシルバニア大学ウォートン校の研究者らの調査によると、仕事で問題が起きたときに助けを求める人はより能力が高いと認識されることが分かっている。
2. 「完璧」の概念を捨てること
完璧な人などいない。しかし誰もが、自分は完璧だと考えたがる。働き過ぎていると感じ始めたら、自分に休憩の時間を与えよう。問題で行き詰まっているときには、支援を求めたり、誰かに新鮮な目で見てもらったりする。新たな視点を導入することで、現状に大きな変化がもたらされることさえある。
3. 全体像に溺れない
新たな責任の数々を全体像の中で見る代わり、新たな職務を業務ごとに考えよう。1日の流れの計画を立てつつ、会議が長引いたり新たなブロジェクトを任されたりしたときに備えて余裕を残しておく。日々の重要な業務をつなげていけば、他の人から期待されていることについてあれこれ考えるのではなく、自分には任された仕事をこなせる能力があるということを再確認できる。
昨今の私たちは、非常に簡単に現状に満足してしまう。やる気が出ないように感じているときは、燃え尽きの症状が始まっているときだ。企業の出世の階段を上る機会を与えられたら、ステップアップし、上司らが正しかったことを証明する時だ。新たな挑戦を冷静にこなし、自分の最も良い面を輝かせよう。