ビジネス

2019.02.12

「引っ越し難民」で需要急増。物置シェアの「モノオク」が資金調達

(左から)投資家の杉山慎一郎、モノオクの阿部祐一、投資家の高梨大輔

レオパレス21は賃貸アパートの施工不良問題で、天井が建築基準法の耐火性能を満たしていない物件の入居者およそ7800人に3月末までの転居を要請。入居者は突然の転居要請に加え、春の引っ越しシーズンと重なることもあり、引っ越し業者の確保の目処も立っていないことから、混乱が広がっている。

「引っ越し先も決まっていないのに、家の中の荷物はどうすればいいのか……」。そんな悩みを解決し、荷物をなるべく安く一時的に預けたいニーズを満たしてくれるサービスが個人間の物置シェアリングサービス「モノオク」だ。

同サービスを運営するモノオクは2019年2月12日、エンジェル投資家の杉山慎一郎、高梨大輔から資金調達を実施したことを発表した。2018年7月にベンチャーキャピタルのANRIから数千万円を調達しており、今回が2回目の資金調達となる。

今後、モノオクは杉山、高梨の知見を活かしながら、調達した資金をもとに年内に全国1万カ所までスペース数を拡大するとともに事業基盤を強化。収納サービス市場の中で「シェア」を通してナンバー1のスペース数と利用者を持つサービスを目指すという。

今回、モノオクに出資を決めた杉山、高梨はつぎのようにコメントしている。

「モノオクの阿部さんとは同じANRIの出資先でもあるteritoruのサービスで、同じ家に泊まる仲間として出会いました。そこでお酒を飲み交わしながら、モノオクの話を聞き、固定の家を手放したアドレスホッパーとして生活する僕にはサービスの需要が自分ゴトとしてすんなり入ってきました。一般的なライフスタイルの場合でも、引っ越しや建て替えなどの際も荷物の預け先が見つからない課題があると感じています。現在、市場環境としてスペースシェアがたくさん出てきていますが、将来的に場所にとらわれず包括的にどこでもスペースのシェアができる可能性があります。僕のマーケティング経験も貢献できると思い、今回モノオクに投資を決めました」(杉山)

「高梨氏を通して阿部さんと知り合いました。その際バックグラウンドやモノオクのヴィジョンを聞かせていただき、応援したいという気持ちからと、私自身も不動産ファンド出身としてこれからますます顕在化するであろう空き家の問題のソリューションになるという気持ちから投資いたしました。モノオクが世の中のために必ずなるサービスと信じています」(高梨)

年内に1万箇所へ拡大、荷物を預ける選択肢を増やしたい

モノオクは荷物を預けたい人と、空いたスペースを活用して荷物を預かりたい人をマッチングする個人間の物置シェアリングサービス。



「トランクルームは値段が高く空いていない」という理由で家電の置き場所に困っている知人から、創業者の阿部が数日間荷物を預かったことが創業のきっかけ。

「荷物を預けたい人の需要に対し荷物を預けられる場所は意外と少ない」と考え、モノオクの開発がスタートした。2015年12月にβ版を開発、その後、6カ月以上にわたって運用テストを繰り返し、2017年3月に正式リリースされた。
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文=新國翔大

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