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2019.02.16

ハリウッド映画業界が頼る「著名人の炎上リスク」査定企業

コメディアン ケヴィン・ハート(Photo by Johnny Nunez/Getty Images)

近年、ハリウッドの映画関係者の頭痛のタネとなったのが、俳優や脚本家たちの過去のSNSにおける言動だ。コメディアンのケヴィン・ハートは今年のアカデミー賞で司会を務めるはずだったが、過去の同性愛差別的なツイートが問題化し、司会役を降板した。

映画「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズの監督を務めたジェームズ・ガンも、2008〜2011年頃の不適切なツイートが問題視され、ディズニーから解雇された。

そんな状況下、ハリウッドで最も著名なPR企業の1社であるプリンシパル・コミュニケーションズ(Principal Communications)は、関係者の過去のネット上の行為を洗い出し、炎上する前に通報するサービスを開始した。

「最も問題化しやすいのは、性的ハラスメントや人種的偏見に関わるコメントだ。SNSだけでなく、10年前の高校の卒業パーティーの動画が炎上につながるケースもある」とプリンシパル・コミュニケーションズの担当者のMelissa Zukermanは話す。

Zukermanらはフォーサイト・ソリューションズという新会社を立ち上げ、エンタメ業界の大物らの過去を点検する事業を始動した。

「掲示板のRedditや、雑多なフォーラムまで、あらゆるネット上のメディアから調査対象者の過去を洗い出す」と、フォーサイト・ソリューションズの調査を支援するEdgeworth SecurityのバイスプレジデントのChad Brockwayは話した。Brockwayは8年間、FBIのサイバー部門に勤務していた。

「我が社のテクノロジーを用いれば、ミーティングや選考の場に現れた役者や関係者の過去をその場で洗い出し、リスク判定が行える」とBrockwayは語る。フォーサイト・ソリューションズはNPO団体の「中傷と闘うゲイ&レズビアン同盟 (GLAAD)」などとも連携をとりつつ、映画などに起用するセレブの過去に問題が無いかをチェックする。

映画スタジオや関係者らは、常に彼らのイメージを守ることを考えている。この分野では他にも様々な、レピュテーション(評価)マネージメントを手がける企業がある。

カリフォルニア州レッドウッドシティ本拠の「レピュテーション・ディフェンダー」も、類似した分野のサービスをエンタメ業界向けに提供中だ。同社はセレブの電話番号や住所などが、ウェブに公開された場合に通報するサービスに特化している。この領域では、過去の破産などの履歴を検索結果から消し去る企業もある。

「ハリウッドにおいては、レピュテーションの管理は非常に重要な問題だ。セレブたちの暮らしは、レピュテーションにかかっている」とレピュテーション・ディフェンダーCEOのRich Mattaは話した。

編集=上田裕資

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