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2019.02.12 07:30

エアビーアンドビー「航空業界の大物」採用で見えた、空への野望

エアビーアンドビーのブライアン・チェスキーCEO(Getty Images)

エアビーアンドビーはこれまでの宿泊という事業領域を超え、移動の領域へ乗り出す構えだ。2月7日、同社は航空業界のベテランでヴァージン・アメリカの設立時のCEOを務めたフレッド・レイド(Fred Reid)を、採用したと発表した。

レイドはエアビーアンドビーに新設される交通部門を率いる。ただし、同社のブライアン・チェスキーCEOは、エアビーアンドビーが航空業界に乗り出すわけではないと述べている。

「私はエアライン事業や、航空券の予約サイト事業に関心はない。ただし、交通領域では人々の移動を快適にするための、様々なビジネスモデルが考えられる」とチェスキーは声明で述べた。

レイドは今後、空と陸の双方で移動に関連したイノベーションを進めていくという。彼が担う領域は、宿泊やアクティビティ以外の旅行関連のエクスペリエンスになるという。

レイドの採用は、エアビーアンドビーが今後、単なるホームシェア企業を超えた存在になろうとする野心の現れだ。同社は以前から、航空券予約関連の事業を計画中であると噂されてきた。2017年にチェスキーは彼のツイッターでフォロワーたちに対し、理想的な空の旅がどのようなものであるかを問いかけていた。

エアビーアンドビーが交通領域に進むことは、必然の流れともいえる。評価額が310億ドル(約3.4兆円)に達した同社は、エクスペディアやアメリカン航空を上回る企業価値を正当化する必要がある。チェスキーは既に社内の組織再編を進め、事業領域の多角化に向けた取り組みを行っている。彼は2018年10月のフォーブスの取材に「時期が来れば、新たな領域に踏み出すことになる」と述べていた。

レイドはエアビーアンドビーに加わる直前まで、ラリー・ペイジが出資するKitty Hawkで、空飛ぶタクシー「Cora」部門のプレジデントを務めていた。キャリアの大半を航空業界で過ごしてきた彼は、デルタ航空やルフトハンザ航空のプレジデントを務めた経歴も持つ。

チェスキーはエアビーアンドビーが(当面の間)航空業界や、旅行予約事業に進出する可能性を否定している。しかし、旅行業界で同社が選択可能なオプションは数多い。なかでも有望な領域にあげられるのが、レンタカーや「Turo」のような個人間のカーシェアリングビジネスだろう。

チェスキーは昨年、ツイッターで意見を募った後、英国のスタートアップ企業が進める空飛ぶ豪華ホテルのアイデア(全長91メートルの世界最大級の航空機「Airlander 10」)を気に入っていると述べた。彼はまた、レイドが開発を指揮したCoraと同様な、垂直離着陸型の航空機に対する関心も示していた。

チェスキーは彼が理想とする空の旅は「自宅に居るような感覚で、空の移動ができるようになることだ」と述べていた。

エアビーアンドビーという企業名の「エア」は、元々は「エアマットレス」を意味していた。しかし、将来的にはこの文字が、空を意味するようになる可能性もある。

編集=上田裕資

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