フォックスコンが「アップルの次」に望みを託すスマホメーカー

Photo by Nora Tam/South China Morning Post via Getty Images

台湾のフォックスコン(鴻海)は、iPhoneの受託製造を請け負う企業として有名だが、同社は新たな収益源を求め、実質的に自社製品と呼べる端末の製造に乗り出した。

フォックスコン傘下の「FIH Mobile」は、「ノキア」ブランドの携帯電話を手掛けるフィンランド企業「HMD」の株式を6%保有しており、HMDが開発した端末をフォックスコンの工場で製造している。HMDはノキアと2026年までライセンス契約を結んでいる。

スマートフォンの販売台数は当面減少トレンドが続くことが予想され、HMDにとっても厳しい環境が続くと思われていたが、同社は予想に反し好調な業績をあげている。

「グローバルでの需要低迷や中国メーカーの台頭などを考慮すると、過去2四半期のHMDの成長性は評価できる」と調査会社IDCのKiranjeet Kaurは述べている。

市場調査会社Strategy Analyticsによると、今年のグローバルのスマートフォン出荷台数におけるHMDのシェアは1.5%となり、2018年の1.4%、2017年の0.4%から増加する見込みだ。Strategy AnalyticsのNeil Mawtsonは「HMDがこれまでリリースしたモデルはスペックが比較的高い割に価格が手頃だ」と評価する。

IDCのデータによると、HMDは2018年の第1〜第3四半期に1300万台を販売し、2017年の1000万台を大きく上回った。

「Nokia 8.1」の価格は511ドルで、フォーブスのEwan Spence記者は、「コストパフォーマンスが高く、画像技術が優れている」と評している。Nokia 8.1はAndroid Oneを搭載し、バッテリー駆動時間が長いのが特徴だ。Spenceは「液晶ディスプレイはHDR10対応で画質力が高く、カメラ性能は非常に優れている」と述べた。

FIH Mobileの売上高は、2018年第1四半期に前年同期比70%増の32億8000万ドル(約3600億円)となった。Strategy Analytics によると、第3四半期の出荷台数は前年比141%と大幅に増え、HMDは最も成長スピードの速いスマートフォンメーカーの1社となったという。

中国やインドでのシェア拡大を目指す

2018年のスマートフォン市場は、買い替えサイクルの長期化などを背景に低迷し、サムスンなどの大手企業も苦しんだ。こうした中、HMDも今年は苦戦が予想されている。台湾の調査会社TrendForceは、今年のグローバルでのスマートフォン製造台数は14.1億台と、2018年に比べて3.3%減少すると予測している。市況悪化に加え、ローエンド市場はOPPOやシャオミなど、中国メーカーが独占している。

HMDは、中国やインド、ロシアなど大規模な市場での成長を目指している。Kaurによると、これらの国でHMDのシェアはまだトップ10に入っていないものの、一定の成果が見られるという。「フォックスコンは、効率化されたサプライチェーンや製造プロセスを武器に、HMDが競合に打ち勝つ支援をするかもしれない」とKaurは話す。

その良い例が近くリリースが予想される「Nokia 9」だ。Mawston によると、Nokia 9は5つのカメラを搭載しながら、価格はiPhoneよりも安いという。

HMDはNokia 9の開発にかなり力を入れている。「Nokia 9はエントリーレベルとミッドレンジ向けに販売を増やし、同社のブランド価値を高めることに貢献するだろう」と台北に本拠を置くMarket Intelligence & Consulting InstituteのEddie Hanは話した。

編集=上田裕資

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