「球聖」ボビー・ジョーンズが全英オープンで遭遇したハプニング

ロイヤルリザム&セントアンズ・ゴルフクラブ


ロイヤルリザム&セントアンズは元々、ジョージ・ロウの設計を我々の心の拠り所、名匠ハリー・コルトが19年にリデザインしたコースである。そして2012年の全英オープン開催の前、コースを改修するにあたり熾烈なコンペに勝ったのは、コルトの孫弟子にあたるマーティン・エバートが率いるMackenzie&Ebert設計事務所であった。

コースの改修は、08年から09年の冬と09年から10年の冬の、足がけ2年かけて取り組まれた。特に、全英オープンでの最高の戦いを演出すると同時に、普段からクラブのメンバーがラウンドを楽しめるコースというコンセプトのもと、パー5を中心に改修されたとのことである。6番ホールのパー5が、これ以上延ばせないということでツーオンが十分可能なパー4に変更された一方、7番ホールと11番ホールが延伸された。

世界最強のゴルフプレイヤーたちがホールをどう攻略するか、より頭を悩ませるようにということで、第1打目の置き所に戦略的なハザードを増やすなど、コース設計にも随所に工夫が見られる。

これによって、果敢にチャレンジングなショットを打ち、それが成功したときと失敗したときでの結果の差がさらにはっきりしたことであろう。また各ホールの戦略性を高めた結果として、01年開催当時の全長6905ヤードから、12年開催時には全長7086ヤードとなっている。

残念ながら改修前のコースで筆者はプレイしたことがないのだが、改修後のコースをまわった際にほかのメンバーとクラブハウスで談笑する機会があり聞いたところ、全員が口を揃えて「大変素晴らしい、チャレンジングかつエンジョイアブルなコースになった」と喜んでいたのが印象的だった。屈指の名コースを世に送り出した、ハリー・コルトとマーティン・エバートに乾杯!


こいずみ・やすろう◎FiNC 代表取締役CSO/CFO。東京大学経済学部卒。日本興業銀行、ゴールドマン・サックスで計28年活躍。現役中から、インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢・発起人、TABLE FOR TWO Internationalのアドバイザーなど社会貢献活動にも参加。お金のデザイン社外取締役、WHILL、FC今治のアドバイザー。

文=小泉泰郎

この記事は 「Forbes JAPAN 世界を変えるデザイナー39」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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