ドバイは「資金洗浄天国」、国際NGOが批判

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ペルシャ湾岸のドバイは、世界各国の汚職・腐敗を監視する非政府組織(NGO)トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)から「マネーロンダリング(資金洗浄)天国」だと非難されてきた。

一方、アラブ首長国連邦(UAE)を構成する7つの首長国の1つであるドバイは、世界中の企業・個人を受け入れる開かれた経済により、重要な中東のビジネスの中心地として高く評価されている。「スーパーカー」をパトカーとして導入し、ヤシの木の形をした人工島を建設したことでも注目を集めてきた。

ただし、ドバイは一般的なルールを無視したり、容易に回避したりできる場所としての悪評も得ている。TIは先ごろ発表した「腐敗認識指数(CPI)」2018年版の中でも、「ドバイでは…腐敗した者、あるいはその他の犯罪者たちが、自由に高級不動産を購入できる」と指摘している。

ジャーナリスト団体の組織犯罪と汚職報道プロジェクト(OCCRP)と米国の先進国防研究センター(C4ADS)は昨年6月、ドバイの不動産市場に関する調査報告書を公表した。リークされた不動産関連のデータと、居住者に関して不動産の専門家らがまとめた情報に基づいたものだ。

TIはこの報告書を引用する形で、「ドバイではほとんど何も調べられることなく、高額な物件を現金で購入することができる」と述べている。C4ADSによれば、ドバイには制裁対象の個人が直接所有している物件が44戸あり、それらの価値は総額およそ2820万ドル(約30億9800万円)に上る。さらに、こうした人物と何らかの関係がある人物が所有する物件は37戸あり、その総額は約8000万ドルだという。

TIは以前から、ドバイの不動産市場で行われている疑わしい取引を疑問視してきた。それでも、この点に関連した否定的な報告や発表を受けて、地元当局が断固たる行動に出ることはなさそうだ。

地域の「リーダー」が抱える問題

ドバイにこうした問題がある一方、UAEは全体として、腐敗に関して中東・北アフリカ地域で最も高い評価を受けている。2018年版のCPIでは、180カ国中23位(70ポイント)に入った。近隣国ではカタールが33位(62ポイント)となっている。

この指数は0~100で対象国を評価しており、スコアが100なら腐敗や汚職はほぼないということになる。最新版で最も高い評価を得たのは、88ポイントを獲得したデンマークだった。

UAEとカタールが域内のその他の国より高い評価を得ているのは、主に両国の経済・社会的な発展のレベルによるものだ。各国と比べて効率的な官僚制度が確立しているほか、国内総生産(GDP)も高水準で、医療・教育システムも整備されている。

ただ、両国には民主主義的な制度がなく、政治的権利も尊重されていない。政治制度と法制度が不透明なUAEは、企業をいら立たせることも多い。

これらは、湾岸地域とそれを含む中東・北アフリカ地域(MENA)地域全体に共通することでもある。非常に腐敗しやすい環境を生み出す原因だ。これらの国々では、報道の自由や学問の自由も保障されていない。

編集=木内涼子

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