キャリア・教育

2019.02.07 07:00

「ツイッターはつなぎ役の2番」 SNSで引退後のキャリアを切り拓く、田中浩康の新たな生き方



(c)YDB

──先ほど「指導者になりたい」と仰っていましたが、東京ヤクルトスワローズでは指導者転向への打診もあったとお聞きしています。

東京ヤクルトスワローズでの最終シーズンは、チームの戦力になれていない感覚はあり、いろいろと思うことがありました。

いざ球団から来季の契約を結ばない旨を言われると、いろんな考えが頭の中を巡ってきて。野球をずっと続けたい思いは持っていたものの、オファーがなければ、もちろん野球を続けることはできません。ですから、これまでのキャリアを活かしてできることを考えました。

そんなとき、仰るように指導者転向のオファーをいただきました。野球選手の中でも指導者になれるのは一握りの人。とても特別なことですので、すごく悩みました。悩んだ末に、もう少し現役でやれることがあるのではないか。いま引退してしまったら、一生後悔して生き続けることになる。そう思い、現役の道を模索していたところ、横浜DeNAベイスターズからオファーをいただきました。本当に有り難かったです。



古田敦也から説かれた「情報発信」の重要性

──田中さんは引退した後、すぐにツイッターやnoteのアカウントを開設し、情報発信を積極的に行っているのが印象的です。

ツイッターを始めたのは、U-23野球ワールドカップの中継で解説者をしていたときです。その中継では視聴者の方がツイッターで質問し、解説者が質問に答えていくコーナーがあって。実際にやってみたら面白いと思ったんです。

僕は現役の頃、あまり野球中継を見る機会がなかったので、こういう中継の方法もあるんだな、と。それがきっかけでツイッターを始めてみようと思い、解説の仕事が終わった後、すぐにアカウントを開設しました。

アカウントを開設したものの、最初はどんな投稿をすればいいか分からず……。そんなときに横浜DeNAベイスターズの守護神、山崎康晃選手のツイッターアカウントを見てみたら、フォロワーが当時、69万人もいて。彼にどうやってツイッターを使っているのか聞いてみることにしたんです。

ツイッターの使い方をひと通り教わった後、彼が僕にこう言ってくれたんです。「ツイッターでもプロ野球を盛り上げていきましょう」って。その言葉を聞いた後、「ツイッターでもプロ野球を楽しんでいるファンがいる。ツイッターでもプロ野球を盛り上げることができるんだな」と思うようになり、それ以降は投稿内容で迷うこともなくなりましたね。




現役時代に未練があるわけではないのですが、このSNSの知識を身につけた状態で現役時代にツイッターをやりたかったですね。ツイッターをやっておけば、もしかしたら1度くらいはオールスターゲームに出場できたかもしれないので(笑)。

──(笑)

ただ、SNS自体の活用は現役の頃からやっていたんですよ。フェイスブックのアカウントは現役の頃に開設し、オフシーズンでの活用が主でしたが、自主トレの動画や記録しておきたいものを投稿していました。

そのきっかけをくれたのは、当時の監督だった古田敦也さんの言葉です。当時、新人だった僕に古田さんは「プロ野球選手は野球さえやっていればいいわけではないんだ」と言ってくれて。その言葉がすごく響いたんですよね。古田さんから情報を発信していく大切さを学び、それがいまにも活きていると思います。

メディアへの露出に関しては選手それぞれ個人差があるのですが、僕は積極的にSNSを通して情報を発信することも大事だと判断し、現役の頃からブログとフェイスブックで情報を発信しています。
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写真=小田駿一

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