ビジネス

2019.02.22

「地頭力」をビジネスに転用するための3つの法則

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ラテラルシンキングを組み合わせよう

こうしたアイデアの転用には、抽象化(帰納的に思考すること)が欠かせないのすが、前回も伝えたとおり、日本人の多くは演繹法的な思考をします。

例えば、山道の危険な曲がり角道で、事故を防ぐにはどうすればいいかを考えるとします。演繹法的な思考では、大体「スピード規制をする」という発想をします。これは、前提としてすでにある道を工事したりせず、簡単にできる範囲で変えるという、制約条件に縛られた考え方です。
 
これに対し「ラテラルシンキング」という考え方があります。ラテラルシンキングの場合、例えば「事故が起きやすいポイントカーブの前から、ガードレールをあえて外しておく」というように、ガードレールという一見当たり前にみえる制約条件を外しておくことで、ドライバーが恐怖心から自然とに速度を落とすようになる、という問題解決の仕方をします。言われてみるとなるほどなのですが、前提条件を当たり前として問題を解くべきと縛られた「演繹脳」からはできない発想です。
 
ゲームの「マリオカート」で最短時間を争う動画を見ると、この「演繹脳」から如何に離れるかということが大事かが分かります。実際のカーレースは、「車はコース外を走ってはいけない」という制約条件の元、行われる競技なので、「演繹脳」で発想する人は、このルールに縛られてしまいます。

しかしマリオカートは、路肩に乗って急カーブしたり、コースでないところにジャンプして最短コースを走ったりと、「演繹脳」の制約条件から外れた発想ができる人ほど、好成績を伸ばせるゲームです。よってプレーヤーは、路肩を見れば減速に使い、ジャンプ台を見れば「ここで加速すれば、カーブをスキップできるかも」などと、と目の前にあるものをラテラルシンキングすることで、最短記録に向け、独自のプレイでゲームを楽しむのです。

演繹思考とは、「問題はこのようにして解かねばならない」という制約条件に縛られた思い込みでもあります。この檻をどうやって論理的に外していくかが、ラテラルシンキング的な考え方です。つまり、前提条件をはじめから取り払い、0から思考する方法です。

これからの時代は、多くの人が演繹思考に陥っている隙に、ラテラルシンキングやAbductionなどで地頭力を鍛え上げることよって、いかに既存アイデアを素早くハックしていくかが重要になってくるのです。

連載 : 働き方革命最前線 ─ポストAI時代のワークスタイル
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文=尾原和啓

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