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LGBTからダイバーシティを考える



マルイが展開する「『ラクチン』シリーズ」のシューズは、性別で選択肢を制限されることがない

杉山:結果として、世間がダイバーシティに注目する前から、パレードへの出展などをされましたよね。会社内ではLGBTに力を入れていることについて何か反応はありましたか。

青井:反対こそされなかったものの、年配の方を中心に戸惑いはありました。パレードにフラッグを出すときには役員から「まだ早いんじゃないか」と言われました。当時はLGBTの認知が進んでいなかったことが原因だと思います。

「とにかくやってみよう」となったのは、若手が積極的に行動してくれたおかげです。社員やその知り合い、お客様にLGBTがいるのは当然だという認識が広がると共に、自然と活動も広がっていきました。

杉山:そうなんですよね。年配の方は、LGBTを自分たちとは全く違う「特別」な存在だと思っていることが多い。正しい知識を持ってもらうことで、自分たちと違うところが少しあるだけの人だと気付いてもらえますよね。

青井:振り返ってみれば、僕自身も小さな頃は些細なコンプレックスをいくつも持っていました。走り方が変だったことにも劣等感を感じていたし、社長の息子だといじめられたこともあります。

杉山さんとお話しすることで、そういう風に自分のアイデンティティが他人と少しずれていていることに気づきました。ものの見方が、必ずしも真ん中寄りではないということを、この歳になって少しずつ理解できてきた。

だからこそ、一人一人がレッテルに囚われずに自分の人生を生きられるような社会をつくりたいんです。

小さなニーズに応えることは、大企業の責任だ

青井:いまのファッションは、靴でも服でも、需要が大きい製品しか用意されていないことが多い。例えば、標準的な日本人女性のサイズしかないため、外国の方は苦労されるでしょう。

これからは、男女問わず誰もが好きな服を自分に合ったサイズで選べるようになるべきです。例えば丸井グループでは、女性用のスーツでしか使えなかった素材で男性用の形のスーツを作ることができます。

フロアごとに男女が分かれているショップも多いですが、そういう仕切りをなくしたい。誰もが自分の好きなものを好きなように着られるのが、これからのファッションなんじゃないかと思っています。

杉山:まさにその通りです。とはいえ、小さなニーズに注目すると、会社の利益は小さくなってしまうのでは?

青井:小さな会社なら、効率的に収益を上げるために客層を絞ることも必要でしょう。けれど、マルイのようなある程度の規模がある会社は、これまで手が回っていなかった部分をカバーできるはずです。

社会が豊かになったいま、あらゆる人に向けて商品を作るのは、大企業のあるべき姿であり、責任なんです。

また、最近は社会課題解決に力を入れるビジネスが応援されるようになっています。昔はファッションに興味のある人たちばかりが採用活動にエントリーしていましたが、最近は「マルイのダイバーシティ&インクルージョンに共感したから」と志望動機を話してくれる学生さんも多いんですよ。

杉山:すごい反響ですね。

青井:今年の採用では10人ほどの学生と面接をしましたが、全員の志望理由がインクルージョンでした。自分が当事者だとカミングアウトする人もいて、時代の変化を実感しています。

困るのは、面接で「LGBTQについてやりたい」と言われた場合ですね。そういう時は「うちはLGBTのためのことはやらないよ」と返しています。先ほども話したように、我々の活動は「全ての人にお応えする」ことですからね。


対談の後編は明日公開。「おじさんと残業が大嫌い」という青井社長が、いかに改革を進めてきたかを語った。

連載:LGBTからダイバーシティを考える
過去記事はこちら>>

構成=野口直希 写真=小田駿一

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